べた褒めされる黒江、完璧すぎる日和
「黒江様、勉強をなさっているのですね。最近の学力の伸び、尋常ではないと思います。日和のように好きなことをするのではなく、好きではないことまで努力するお姿、そのお心、感服の至りです。そして周囲を気にせず、自分のやりたいことをする性格もとても心を打たれます。黒江様の持つ力は日和にはないものです。そこが黒江様の最大の魅力ですよ。日和はそんな黒江様とお話できて、またとない最上の愉悦を感じております」
口から出るわ出るわ。あたしの魅力について、日和は胸に手を当てながら屑々(せつせつ)と語った。
一語一語噛んで含むようにしっかりと吐き出していった。それに圧倒されるあたし。
他人のことをそこまで雄弁に熱く語れる奴って、なんて心が清らかなんだろう。
見た目通りおしとやかで清楚な感じも出ているし、女性の品格も兼ね備えている。こんなに見た目も中身も完璧な奴があたしに憧れを抱くなんて、考えられないよ……。
「黒江は魅力的」
「自信持っていいってか? あたしは顔だけはいいらしいけどな」
「そのようなことはありません。先程申し上げたではありませんか。黒江様は日和の言葉を信じないのですか? 心からの言葉なのに? 日和はそんなにも信用なりませんか?」
日和は机に乗り出し、うるうるした目であたしに迫ってきた。
こいつのこういうところは苦手だ。涙目で同情を誘おうとしているところとか。
「わかった。わかったから……近い」
「日和のこと、お嫌いですか?」
「嫌いじゃないけど近い」
「このままキスしましょうか?」
「それはやめろ。断じて許さん」
「冗談です」
口に手を当てて、妖精のような神秘な微笑みを返す。
容姿だけは天使だが、実はレズで中身は腐っているのではなかろうか。
なんにせよ、底が見えない奴ということだけは確かだ。
見た目に惑わされちゃいけない相手だな。純粋なのかもしれないが、あたしはどうも胡散臭く思ってしまう。なんでだろうな。疑心暗鬼なのか、ただのあたしの勘なのか。
たまに冗談が冗談に聞こえない時がある。
それから三限、四限と授業が終わり、放課後になる。
「先に行って待ってるから」
「おう」




