ラブラブカポーではない
約束をこじつけた。これであたしも高三にしてバイトデビューだ。みんなともバイトの話ができて話のネタになる。そんでもって金も稼げるし、大助かりだな。
「そこ! お喋りは慎みなさい!」
遂に注意されたか。私語は厳禁とかいうルールは廃止にすればいいのになあ。私語は現金だったらみんな喜んで喋りまくるのに。授業中私語禁止とか世知辛い世の中だぞ。あたしは一人でいることが多いからこそいっぱい喋りたいのにさ。
次の授業は英語だ。現国やって日本語力は大分鍛えられたから、英語の長文読解も得意分野になってきた。先公どもも、あたしの学力がめきめき伸びているからビックリしている。どうだ。あたしはやればできる子だ。思い知ったか。馬鹿だから詰め込めるんだ。
「ビューティフォー! 素晴らしい! エクセェエエエレント!」
日本人的な発音であたしを賛美する英語の先公。今日の二人目の先公も男だ。
「そうか。あたしを褒める先公もいたもんだ」
「よかったね。美しいってさ」
「あたしの美貌を褒める奴はあんまりいなかった……」
あたしは嬉々としてそれを受け入れた。英語の先公にはあたしのダチ第四号くらいをくれてやる。心して受け取れ。一生の宝物になるぞ。
「高校生なら可愛い方が人気出るからね」
「何……そうなのか」
「世間ではそうらしいよ」
「オウ! そこそこのラブラブカポー! では二人にお願いしようか、なっ! 恋人の会話をしてくれユーたちっ!」
先公はアメリカンなオーバーリアクションで自分を抱き締めた。
あたしたちが恋人認定されたが、プーは心底いやそうな顔をしている。あたしもこいつと恋人なんていやだ。こんなガキとデートしたり、手を繋いだりするのはご免だ。
プーなんか、苦虫を噛み潰すどころか戻しそうな顔をしている。
「というわけで、あたしらはラブラブカポーンじゃない。他のデキてる奴を当たれ」
「ノンノン。ラブラブカポー」
チッチッとエセ英語を喋りつつ、頭を振る。
こんな感じで頭のおかしい、もとい個性豊かな面子が揃っている。先公というのはこんなもんだからな。他の生徒もあんな風にハチャメチャになったら面白いんだが、残念なことに、制限されているよな。




