言葉は人を傷付ける武器
「……っ。そうかよ。折角助けてやったのに……」
上手くいくと思ったのに、助けて損した。助けなければよかったか。あのまま男に食われてしまえばよかったんだ。お前なんか、もう知るか。
恩知らずのすっとこどっこい。朴念仁! 木偶の坊! おたんこなす!
「お前なんか……お前なんか……」
「……なんでしょう」
「こいつらの肩持って、助けたあたしを悪者扱いか! こんな店潰れろ! お前もこの国から出ていけ! お前なんかと、会わなければよかった……。お前なんか、日本に来なきゃよかったんだ! 顔も見たくない! とっとと、どっか行っちまえ!」
パンッ――
乾いた音が、木霊する。響くように、脳裏に焼きつけるように、何度も耳に反響する。
叩かれたのは、一回だけなのに。
「……心配しなくとも、もう少ししたら出て行くよ……だから、もうここには来ないで。あなたのように頭にすぐ血が上るような人がいたら、他のお客様の迷惑になるから」
手を伸ばして、あたしの頬を思いっきり叩いてプーは顔を伏せた。
あたしは茫然として、ひりひりと痛む頬を手で押さえることしかできなかった。
こんなつもりじゃ、なかったのに……。
言葉って……人を傷付ける武器なんだな。




