ナンパはめんどくさいらしい
あたしが物陰に隠れてチャラ男どもを監視していたのを、不審に思った店員が話しかけてきた。これはまずい。あたしが奴らを懲らしめる前にあたしが懲らしめられてしまう。
ミイラ取りがミイラになるパターンだ。
そう。あたしは特に現国を重点的に勉強したんだ。ことわざもいっぱい覚えたぞ。
担任だし、あいつは先公の中でもまだましだからな。数学は全く勉強したくないな。あいつ、ムカつくし、手の平返されるのはあたしの怒りが収まらん。
他にもやることはいっぱいあるはずだけど、とりま現国からだ。
「あ、あの子可愛くねー?」
「あ、マジ可愛いー」
「でもあの子背高すぎね? 百五十くらいあるぜ」
さっきのチャラ男どもは明らかに染めている金髪の女子を見ていた。金髪女子は一人でクレーンをしていた。アニメのキャラをゲットするべく、意気揚々としている。
それにしても……なんだ、あの言い草は。百五十センチがでかいだと? あたしは百六十近い身長があるが、平均身長くらいだぞ? でかいだと?
そんなにでかいと思わなかったんだが……なんかショックだ。
「もうちょいちっさい子がいいぜ」
「だな。顔は可愛いけどなー」
「ヤるなら可愛いだけでよくねー?」
チャラ男どもは金髪女子をターゲットにするのはやめたようだ。よかったな、ナンパの餌食にされずに済んで。あたしのダチによると、ナンパされるのは結構面倒らしいぞ。
チャラ男どもはその後もいい物件を探しているようだった。ゲームをするふりをしては、可愛い女の子の話題で盛り上がる。他の客も徐々に気付き始めていた。
ゲーセン荒らしのナンパ野郎が来た、ということに。
そこで店員が注意をしに来た。勇気出したな。頑張れよ!
「お客様、店内で女性をお誘いしようとなさるのは……」
男に声をかけられると一転して態度が豹変する。チンピラだったか。
「ああ?」
「テメ、誰に向かって言ってんの?」
「オレたち、客なんですけどぉーー」
中指を立てて、喋りのリレーをするチャラ男ども。ふざけているのか、お前ら。
「う、て、店長ぉお」




