数学の先公
「警察沙汰になるのは勘弁して欲しいな」
「そうなったらお前の方が大変だろ? あたしはやると決めたらやるんだ」
「んん? そうなんだ?」
「なんだその返事は」
「そんなにポリシー持った人だとは思わなくてね」
「……」
あたしは他人に不良以外にどんなイメージを持たれているのか。
そんなに不真面目でどうしようもない人間に見えるか?
ピアスしていたら駄目なのか? おしゃれじゃないか。
「先生が来たよ」
プーが前を向いて真面目モードに突入した。だがあたしは媚びない。
特にきらいな、数学の先公だ。こいつはなんでもかんでも決め付けたがりの女の先公。
「皆さん、おはようございます。それでは早速授業に入っていきましょうね」
きびきびと動き、すらすらと板書し始める数学の先公。堅苦しくてきらいだ。
なんで授業ってやつはこんなにつまらんのだろう。もっと楽しませる授業をする努力とかしないのか。社会に出る準備だとか、そんな面倒なことは後からでもいいじゃないか。
花嫁修業しに来てるわけじゃないんだぞ。
「黒江さん」
「なんだ」
「足を組んで座るのは、先生に対して失礼な行為ですよ。廊下に立っていなさい」
「廊下に立たせればいいってもんじゃないだろ」
「では、授業が終わるまで廊下で逆立ちをしていなさい。そうすれば頭に血が上って少しは賢くなれます。あなたのような人間は学校に来るべきではなく、不登校になればいいのです。引きこもってニートにでもなって、親のすねかじりでもしていなさい」
なんだこいつ……教師として最低な物言いだな。
「そんなに自分にとって都合の悪い奴を排除しようとするのか?」
「社会不適合者のあなたの意見など、カス同然です」
数学の先公が辛辣なことを言うものだから、教室がざわついてきた。
「いくらなんでも言いすぎ……」
「ひどくね?」




