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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
3.そういえばあたしは口下手でした

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プーと口喧嘩、いつもの見慣れた風景

 あたしがまともな意見を言ったせいで、日和は項垂うなだれてしまった。

「そうですね……黒江様のおっしゃる通りです……では、この話はなかったことに」

「おい」

 勝手に話をして、勝手に自分の席に戻っていった。自分勝手な奴だな……。

「わたしも戻る」

「ああ……もうすぐ始業だしな」

 長々と話をしていたのに、まだ授業は始まっていなかった。

 楽しい時間はすぐ過ぎ去るが、あたしの体感では楽しくなかったということか。

 人の感情って難しいな。楽しいはずなのに、ちっとも楽しいと感じられない。もう少し話を聞いてくれる奴なら、もっといい関係を築けたかもしれない。そのことだけが遺憾いかんだ。

 あたし、ダチ作り下手かな。

 頬杖をついて、一人考え事をするのだった。

「……ふう……」

「どうしたの、溜息」

「なんだ、プーか」

「隣の席なんだから、毎日いやでも顔を合わせることになるよ」

「そうか。そうだな。今日ゲーセン行くからな」

「じゃあ、あなたは出禁にしよう」

 プーは学生鞄の中から紙を取り出して、ペンで何かを書き始める。

「おい。まさか貼り紙でもするつもりか? そうまでしてあたしに会いたくないと?」

「あなたが来ると評判が落ちるでしょうが。店員に説明するの大変なんだからね」

 あたしが文句を言えば、間を置かずに言い返してくる。滑舌もよくて、いつも的確な意見を言ってくる。反論できない。この頭の回転の速さ、やはりプーだ。

 プーはこのクラスの誰よりも賢いと思う。先公も遠く及ばないだろうな。

「でもあそこはあたしの行き付けの店なんだぞ?」

「それは悪うござんしたね。新しい店をお探しください」

 ケッとぞんざいな態度を取って、プーはあたしをあしらう。だがここで食い下がるのがあたしだ。あたしは一度決めたら引き下がらない。しつこい女豹めひょう、女妖怪黒江と呼ばれたこともあるんだぞ。その矜持きょうじは誰にも譲らん。

「出禁にされてもあたしは行くからな」

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