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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
3.そういえばあたしは口下手でした

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日和は病んでいるところがある

「そうですか。黒江様がお手洗いに入る姿など想像できませんから……少し興味があったのですが。残念です」

 瞳を濡らしてあたしの手を握ってくる。ついでに自分の頬に手をすりすりしてやがる。

 ちょ、ちょっとお前どういう奴なんだ。本物のレズか? そうなのか?

 あたしのことをどこぞのアイドルか何かと勘違いしているのか?

「お前……」

「はい?」

「ちょっとおかしいと思うが」

「そんなことはありませんよ? 日和は黒江様の舎弟ですから」

 語尾にハートを付けてもいいくらいの声で、日和はあたしの考えを拭おうとする。

 取り敢えずあたしが好きなのはわかったが、ちょっと怖いぞ。お前、あたしをどんな目で見ているんだ。可愛いからといってお前の行動がエスカレートしては困る。

「黒江様に触れたいと……ずっと思っていたのです……」

 あたしの手をつつと触ったまま、とろんとした目で見てくる。恍惚こうこつの表情だ。

「黒江様は日和のこと、おきらいですか? こんなに黒江様が好きなのに?」

 日和はますます表情を蕩けさせてあたしに心酔している。

「ドン引きだ……」

「おはよう黒江。日和は病んでいるところがあるから」

 朝華がポンと日和の肩を叩いて、無表情でやって来た。

「あれ。頭を叩こうと思ったのに……」

「朝華。頭を叩いてはいけないのですよ。脳細胞が死んでしまいます」

「おい。まさか自分の身体すらもコントロールできないとか言うつもりか?」

「そう。わたしは新緑の国から来た」

「聞いてください、黒江様。朝華はたまにおかしなことを言うのです」

 もう困っているという顔で日和が朝華のことを話した。

「そうか。異様にちっさい奴はどっかの国から来たってことか? 日和は小さいとはいえ、百四十後半なら、ちらほらいるしな。高校生でも」

「なんのことでしょうか?」

「いや、こっちの話」

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