熱中症にご注意
「ここは病院だよ。騒いじゃいけないから、興奮するのも大概にね」
「う、うるさいな……」
「あなたの方がうるさいけど?」
「ご挨拶だな……」
「今となっては、ね」
プーはクスッと笑って茶化す。話してみると、かなりお茶目な性格をしているよな。
ホント、なんでこいつは男なんだ……。何故男に生まれた。
「私の存在を蚊帳の外にするなど、アマネル・マープ様は酷いお方……。でもそこに痺れます。いつでもどこでも私の麗しき主……一生、貴方様をお慕い申し上げます」
「ていうか、お前、学校は。二人組もそうだが、早退したのか?」
「あの後他の生徒も倒れてね。蒸し暑かったから熱中症になったのかもしれない。バスケットの試合は白熱していて、ハードだったから。みんな、暑さを忘れて夢中になってた」
あたしが倒れた原因はそれも関係あるということか?
隅っこで体育座りしていたあたしが、熱中症なんてありえないと思うけどな。
「だからあの後、先生たちは大事を取ってみんなを家に帰らせることにしたみたいだよ。よかったね、早く帰れて。いやだったんでしょ。いつもふてぶてしい態度取ってたし」
「……そうだな。けど……」
「けど?」
「今はべつに、そんなことないかもしれないな」
あたしはさっき座っていたソファを見やって、さっきの出来事を思い出す。
「……そう」
「ああ。お前のおかげだな」
「おお、小娘。それは、不肖の私、マロム・クリムも感激のお言葉です。もっとアマネル・マープ様を崇め奉りなさい。愚かな人間の小娘」
「ならもうバイトも必要ないね」
「……いや」
「……んん?」
「私を無視するのもいい加減になさっていただけますー? 聞いておられますー?」
「バイトは必要だ。お前の弱みを握るために、あたしを雇え」




