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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
2..ダチが増えたけど、あたしはやっぱりあたしだ

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ありのままの姿が一番いい

「あ。気が付いた? もうすぐ救急車が到着する頃よ。少しの間気を失っていたみたい。大事にならないように、きちんと検査しましょうね。若いから病気になったら進行も早いし、悪いことは早めに対処しておかないといけないから」

 そうか。少しの間眠っていただけだったのか。

 あたしはほっと胸を撫で下ろし、だが腑に落ちないことがあったのを思い出す。

 あたしの顔にボールを当てたのは誰だ。よくもやってくれたな。仕返ししてやる。

「そうそう。さっきあなたのクラスの子が様子を見に来ていたわよ。ごめんなさいって謝ってた。名前は確か……赤丸さんと飯島さんだったかしら。二人共とっても可愛い子よ」

「何!? 可愛い子だと……それじゃ仕返しができないじゃないか……」

 男だったらメタメタのギタギタにしてやるというのに。プーも例外じゃない。

 あたしは爪を噛み、怒りを相殺そうさいさせる。

「困った子ね……猛々(たけだけ)しい生徒、私嫌いじゃないけれど、喧嘩もほどほどにね。女の子なんだから。今日みたいに他の人に怪我させられるのは仕方ないわ。でも自分から傷を作らないようにしないと。可愛い顔が台無しよ。いつか取り返しのつかない大怪我をしてしまうかもしれない。もっと大事にしなさいね」

 先公はあたしのことを自分の子のように思っている。先公でもこういう奴がいるんだな。あたしのよき理解者みたいな奴。こういう奴には、幻滅させたくないな……。

「ありがとな」

「え?」

「心配してくれて……」

「ええ……まあ……どういたしまして?」

 なんで疑問形になっているんだ。

「あら、ごめんなさい。あなたが素直にお礼を言う子だとは思わなかったわ。ごめんなさいね。失礼なことを言って。私、あなたを勘違いしていたみたい」

 ふふと女らしく笑う先公は、文句を言わせる気を失せさせる。

 下品な奴とかムカつく奴なら長々と文句垂れてやるところなのに、こいつは違う。ブリッコじゃないところも好感触で、あたしはこういうのを理想の女性というのだと直感した。

 そうだ。顔が美人じゃなくても仕草だけで美しくなれる。見たか? これが日本人なんだよ。あたしはこういう日本の女性が好きなんだ。

 気取らなくても、綺麗に着飾らなくても、自然と出る仕草が一番いい。

 そんなありのままの姿を体現しているかのような人なんだ。目の前の女性は。

 あたしはこういう女になりたい。

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