ボールが顔面にぶち当たる
「ぐふっ……中々やりますね。小娘ども……」
ああ。どうしようか。体育着も気に入っていた下着もボロボロだ。どうしてくれよう。
体育の授業にも出られなくなってしまった。親にも、どう言い訳すればいいものか。あたしは悪くないのに、なんでこんなことに……。クリクリの阿呆が。
体育の時間はあたしの今までの行動のおかげで、見学ができた。
その際、制服で見学させてもらえて助かった。しかし悪い噂がまた増えたな。主に男子の間で。弁明するつもりはないが、悪くないことで風当たりがきつくなるのは腑に落ちない。女子は一連の騒動を知っているから、あたしの味方になってくれたが。
みんなが体操して、バスケをしているところを見ると、あたしも体を動かしたくてうずうずしてきた。だってあたしは、運動は好きなんだ。でかい大会には出られないけど、才能はないけど、好きなんだ。汗を流すのは気持ちがいい。
体を動かすのは気持ちがいい。
「……混ざりたい」
みんなが楽しんでスポーツしているところを、あたしは隅っこで体育座りをして眺めているだけだった。見学は楽しくない。暇になってきたし、寝るか……。
この借りは後日、きっちり返してやるからな。クリクリ。
あたしがすやすや寝つこうとしていると、視界が急にボールに近くなった。
ん? なんだ、この感じ……。もしや、ボールがあたしの目の前にある?
と思った瞬間、あたしの顔面にボールがクリーンヒットし、あたしは後ろに倒れた。
意識が遠のく……、あれ、頭でも打ったか。ああ、これはやばいやつだ。病院に行ってMRIとかCTとか撮った方がいいやつだ。誰か、後は頼んだぞ……よろしくな。
気付けば、見慣れた天井があった。
そこは保健室だ。ベッドに寝かされていたみたいだ。ふかふかのベッドで、洗い立てのいいにおいがする。ローズとフローラルの香りだ。いい柔軟剤を使っている。
あたしが起き上がってベッドが軋んだからか、保健室の先公がカーテンを開けて話しかけてきた。よかった。美少女じゃなくて年季の入ったおばさんの顔だ。安心する。




