プーに友達作りの手助けをされる
「お前、調子乗りすぎじゃね? クラスのみんなと話したけど、安馬もそう思うって言ってるぜ。お前、安馬に構ってもらってるんだから、ちょっとは態度変えろよな」
「そうよ。安馬くんが可哀想でしょ」
そうだそうだとクラスメイトが騒ぎ出す。大勢になると途端に力を増大させる。群れないと言いたいことも言えないんだな。集団リンチと一緒じゃないか。かっこ悪いと思わないのか。他人の意見に便乗するしかできない奴らに、文句を言われる筋合いはない。
あたしは不良だが、他人をいじめたことなんてないぞ。
先公だって収拾のつかないこの状況に焦っている。困惑しているじゃないか。
「……ぼくが可哀想なんて、言ってくれるなあ」
プーはぼそりと呟いた。だが、あたしにしか聞こえない音量だった。
あたしが調子に乗っているのだとプーも言っていたというのは本当なのか。
プーみたいな奴はムカつくが、本人の前で悪口を言えるこいつが、陰で何かを言っているとは思えない。プーが一番信頼されているから、プーの言葉を借りようとしているだけじゃないのか。プー、何か言えよ。
嘘だって一言言えば、解決するじゃないか。
プーは一瞬目を閉じて目を大きく開いた。それからクールに澄ました声で話し出す。
「ぼくが黒江さんに接触する理由は二つ。一つはぼくの容姿を侮辱したから。もう一つはぼくと友達になりたそうだったから。だからぼくは彼女と話をしている。こんなクレーマーみたいでめちゃくちゃな人と話す機会なんて、滅多にないからね。みんなも一度話してみればいいと思います。面倒だけど面白い人です」
人のいい笑顔を浮かべながらプーはあたしのことを宣伝した。
あたしがダチを作るのに手助けしてくれているのか? まさか、プーがそんなことをするはずがない。でもあたしにはそう聞こえる。あたしのためにみんなを宥めてくれたのだと。買い被りすぎだろうか。そんなことをしてもプーは得しないじゃないか。
魔法か催眠術か何かにかかったように、クラスメイトがプーの言葉に耳を傾ける。
なんでこいつの言うことは、みんなして素直に聞くのか。そんなに凄いのか。
「お前、何かしたのか?」
「何もしていないよ」
プーは口元に人差し指を当てて、しーっとあたしに次の質問をさせないようにする。
……これは何かしたな。




