親の愛
あたしの名前呼びを却下しておいて、プーは自分の意見を押し通そうというのか。それではあまりに不公平だ。あたしも今まで通りプーと呼ぶことにしよう。
プーはクスクスと笑っていた。
家に送ってもらうと、時刻は二十三時を回っていた。高校生でこの時間は警告を受けるはずだが、何故かパトロールしている警官には会わなかった。プーやメイドも小学生サイズなのに、遅くまで外を出歩けたし。あいつらの能力かな。
「ただいま」
あたしはまた家に帰った。今度は明かりがついている。親が帰って来たみたいだ。
鍵を開けて玄関に入ると母親が飛び出してきた。カンカンに怒っている。
腰に手を当てて、あたしを睨んでいる。いつものエプロン姿なのに、いつもと違ったところが一つだけあった。よく見なければ気付かない。ほんの僅かな違い。
手が濡れているところ。
「もう! 飛香! あなた何時だと思ってるの!」
「……ごめん」
「女の子なんだから、こんな遅くまで外に出ちゃいけないでしょ?」
「……ああ、そうだね……」
「もう! そんな返事して。ちょっと来なさい」
母親に腕を引っ張られ、家に入れられる。
二時間くらいは説教されるんだろうな。でもいいや。
――ようやくわかったから。




