説教される黒江、親のありがたみを言われる
「あなたみたいに野蛮で面倒な人間が、どうしてゲームのようなものと戦えるのか、ぼくはずっと気になっていたんだ。あなたが戦っているのは人でしょう。ゲームのように仮想の世界と戦うような人物に思えない。それも一種の現実逃避?」
あたしはコーヒーカップを持って、視線を落とした。ゆらゆらと波のように揺れ、あたしの顔を映す。
「あたしは……一人が寂しくて、だから一人遊びができるようにしていたんだ。ゲーセンなら一人でも遊べるし、遊ぶ金くらいならある。家で一人遊びなんてしても心が落ち着かない。ずっと内向的なことばかり考えてしまう。ゲーセンは……あたしには砂漠のオアシスと同じなんだ」
本当は、何していたって、心の空虚な空間は埋まらない。
「……大袈裟な」
「あたしはゲーセンで金使って、親への当て付けをしてる。こんな不良な娘なんてもういらないって縁切ってもらえるように、あたしはどこにでも行ってやる。あんな親ならいない方がましだ。それで一人暮らしができればいい」
「自分でお金を稼げないあなたが、一人暮らしなんてできるとでも?」
プーが静かに怒りの声を上げた。
あたしはハッとしてプーを見た。プーは何故か傷付いたような顔をしている。
「だからこれからバイトして金貯めるんだよ」
「あなたのような人がアルバイトしたところで、お金を貯められるとは思えないな……親に養ってもらっているのに、そんな考え方なんて……あなたから離れていったのも、あなたがそんな考えだからじゃないの? 暴力を振るわれたわけじゃないなら、親に感謝しないといけないよ。文句を言われるのもあなたを心配して言っているのだから。それをうるさいと吐き捨ててはいけないんだ」
プーに説教されてしまった。あたしはなんだか心が重くなった。
あたし、そんなに悪いことをしていたのか。
あたしの親なんて、あたしのことがまるで好きじゃないと思っていたのに。
「あなたのことを本当に愛していなかったら、あなたはこうして自由に過ごせないはずだ。学校も行かせてもらえず、ゲームセンターに通うこともできない。あなたを養うために汗水垂らして働いているんだよ。そのくらいは高校生なら、理解してあげないといけないんじゃない」
あたしを咎めるように、プーはあたしの親の苦労を話す。




