プーのやりたかったこと
「でもお前、ゲーセンの店長だろ? だったらアニメとかにも興味持った方がいいぞ」
「だから興味はあると……言ってるのに。詳しく調べなくともメイドを使えばいいことだし、その手のことにはメイドの方が詳しい。俄かのぼくが踏み込むには時間がたくさんいる。お客様に訊けばどんなものが好きか、どんなものが人気かくらいわかるから」
メイドはそんな風に使っているのか。
あたしはそこまで考えが及ばないから悪かったな。
「へえ。なんで店長してるんだ?」
「よく質問するね。そんなに気になることなんだ」
あたしにとっちゃ死活問題に等しい。だってお前があそこの店の長なんだからな。
「気になるに決まってる。あの店はあたしの行き付けのゲーセンなんだ。なんでお前が店長になってるのか、気になって夜も寝られないと思うが?」
「そう言いつつ、夜は寝られるんでしょう」
「これはジョークだ。そんなことにいちいち突っ込むなよな。で、どうなんだ」
「ぼくが店長をやりたいって言ったら、やらせてくれたよ」
「は?」
「前の店長はどうやら体の調子がよくなかったみたい。家族もいないし、ぼくに任せてくれたよ。ぼくは呑み込みが早いから、すぐに店長に代わってもらえた」
それにしたって唐突だろう。あたしは常連だぞ? そのあたしに一言もなしか。
薄情じゃないか。急に消えるなんて。
「店長候補もいなかった。ぼくもあの中ではいいと思った人材はなかった。真面目だけど人をまとめる力はないと直感したよ。だからぼくが店長をした」
「なんで店長やりたいと思ったんだよ」
「人間の世界で、人間の真似事をしてみたかった。それがたまたまゲームセンターの店長で高校生というだけのこと。深い意味はないよ」
だがそこに深い意味はある。お前がしたいと思ったことはその二つだったのだろう。
こうして日本で暮らしてみたいとも思ったんだよな。
「……黒江さんは、どうしてゲームが好きなの?」
今度はプーに質問された。質問返しか。受けて立ってやる。




