悩むより行動すべきだと説かれる
「あなたこそ自己愛精神が大層強いようだね。可愛がられていないから? 普通は可愛がられている方が、自分が大好きになると思うんだけど。違うかな?」
んーと首を傾げて独り言を呟きながらプーは考え事をしている。仕草はいちいち乙女だ。
なんであたしが女でこいつが男なのか理解できなくなってきたぞ。
「ぼくはなるべくしてこの性格になったから。あなたはべつにそうではないでしょう。ひねくれたのはわかるよ。でもあなたはまだ若い。悩むより行動するべきだ。行動してから悩むべきだ。自分がどうして人と仲良くなれないのかもよく考えた方がいい」
プーは思っていたより随分とお節介な奴だ。
あたしに人生を説くのか。王様というより坊さんみたいだな。フサフサだけど。
「答えは?」
「ん? あたしの答えか……そうだな。考えておく」
あたしが曖昧に返事すれば、プーはあたしをギロリとねめつけた。
「善は急げって言葉があるのに……なんでそう、あなたはいい加減なの。あなた見てるとぼくの怒りが収まらないんだけど……ああ、鬱陶しい。ウジウジした人だなあ」
お前を怒らせていたつもりはなかったけどな。あたしの方がムカついてた。
プーはガシガシと頭をかき、苛立ちを隠せないようだが、なんだかんだ言ってあたしが気になるようだ。あたしのことをこんなに心配してくれる奴は、こいつしかいないのかもしれない。
「客間に案内するから、ついてきて」
「ああ……」
あたしの後ろを先程のメイドがついてきて、三人で客間に行った。
こっちも無駄なもの何一つない。テーブルとソファが置かれているだけだ。
……他のメイドは何をしているのだろう。掃除が大変なことはなさそうだが。
メイドがコーヒーを出して、プーの後ろに控える。一言も発さず、監視しているようだ。一応あたしを警戒しているということか。
「お前さ、あんまり物置かないんだな」
「もちろん。無駄なものは置かない、無駄な者は雇わない主義だからね」
「それにしても物がなさすぎじゃないか? 娯楽には興味ないのか」
「興味はあるけど、必要ないから。ぼくは無駄なことはしない主義なんだ」
主義を連呼しすぎだ。どんだけ言いたがりなんだよ。
プーはコーヒーを音も立てずに飲んだ。ロイヤリティー溢れる所作だ。




