その座右の銘、意味が違うよ
そうこう考えているうちに、左横の席に座る金髪女子に肩を突かれた。髪は肩よりも短く、量を少なめに切り揃えられ、睫毛は長く、唇は小さめだ。全体的に幼い。
あたしと違って華やかで女の子らしい感じがする。こういうのが清楚系というのか。わかる気がするぞ。あたしが男だったら惚れてたな、確実に。
「……なるほど。これは中々……」
外人だろうか。髪染めをしているようにも、カラコンをしているようにも見えない。自然な感じがする。吸い込まれるような美しさだ。金髪黒目の奴なんて、今までに見たことがないからかもしれない。 あたしは生粋の日本人だからな。黒髪黒目のギャルだ。
「何が中々なの? 定番の質問だけど、ぼくの顔に何か付いてる? あのさあ……ぼくがあなたに先に言おうと思っていたんだけど、そんなにじろじろ見ないで欲しいな」
「いや。髪の毛さらさらだなーと思って。手入れとかしてんのか?」
満面の笑みを浮かべている。ということは、このクラスでのダチ第一号になるつもりなのか。
お前、中々見る目あるな。あたしをダチにすれば、もれなく数々の特権が付いてくるぞ。あたしの舎弟になれるし、あたしの美顔を拝むことができるし。いいこと尽くめだ。
「それは見た目の問題。それよりさあ……あなた、何か勘違いしてるんじゃない?」
「何を、」
「ぼくを女の子だと思ってるでしょ。初対面で失礼な人だね。制服見てわからないの? ぼくが男装でもしてると、そう言いたいんだよね。頭おかしいよね。そんな脳味噌は味噌汁の味噌にでもすればいいよ」
「エグイ……」
想像してしまい、うえと吐き気がした。なんという表現力。舌を巻いたぞ。
「ぼくが言いたかったのは、座右の銘って、あなたのやりたいことを言うものじゃないってこと」
あ、よく見ればネクタイをしているじゃないか。顔から下は見てなかったから、てっきり女かと思った。こいつが女みたいな顔をしているから悪い。あたしは断じて悪くないぞ。こいつの喋りはどうも男っぽくないからな。こんな饒舌で女みたいな喋りをする男がいるか。あたしも人のこと言えないが、トランスジェンダーかと思った。
仮にも高校三年生が、だぞ? 勘違いされてもおかしくないと思うが。
それよりも、こいつには癇に障ることを言われたはずだ。




