王たる者の風格
「呼んだくせに何故すぐ帰らせようとするんだ。本当はこの家見せたくなかったのか?」
「いや……」
プーにしては珍しく妖艶な笑みを浮かべた。
背筋がぞくっとした。やっぱり人間じゃないんだなって再度理解した。
でも理解できないぞ。なんであたしをすぐ帰らせようとするのか。あたしを連れてきたのは間違いだったと、そう言いたいのか? 言ってくれなければわからない。
言わなきゃ伝わらないこともある。そうだろう?
「ぼくが君を帰らせたいわけは、わかる?」
「わからないな。せっかく連れて来たんだったら、ゆっくりしていってくれとか言うもんじゃないのか。日本だったらそうするぞ。上がっていってくれと」
「ぼくの国にはそんな考えはないよ。上がるなんて、ぼくより上になるみたいでいやだし。客をもてなすという精神はお店で発揮してる。だから他ではぼくらしくあるべきだ」
続けて、
「あなたをここに呼んだ理由。寂しそうにしているからとか、同情したわけじゃないよ。ぼくは憐みの心なんて持っていない。生まれも育ちも全て意味のあることだと思う。最初から成功の道を歩んできたぼくが言うのもなんだけど、幸せになれるかどうかの鍵は、自分自身が握っている。それを境遇のせいにするのはおかしいんだ。あなたは逃げているだけで、幸せになろうと思えば、幸せになれるはずなんだよ」
結局こいつは明確な答えを言ってくれていない。さっきの質問の答えはなんだ。
「苛ついているみたいだね。そうか……あなたは読解力が皆無だった。ありゃま大変だ。じゃあ簡単に答えを言ってあげないといけないね。答えはぼくの家より自分の家の方がいいと思わせるためだよ。ぼくの家の方が、いて窮屈だと思うはずだけど。あなたには威厳というものがまるでないからね。礼儀も作法もきちんと学ばなければいけない。王たる者の風格も必要」
言っていることは正しいが、いちいち癇に障る言い方しかできないのか。
王ってやつは、どこでもこんな性格なのか? 王の風格とかほざいているし。
「お前、実はナルシか?」
「あなたほどではないと思うけど?」
「……」




