プーの自宅に招待される
「帰りたくないなら、仕方ないでしょう。ぼくだって鬼じゃないんだから。気が済むまでぼくの家で寛ぐといいよ。あなたにとって安らぎの空間かどうかは判断しかねるけど」
「ああ。すまないな……」
少し引っかかる言葉だが、まあいいか。
あたしたちはプーの家に向かった。この公園から徒歩で十五分。かなり近い方に入るだろう。あたしの家はもっとかかったからな。
プーの家はでかかった。
それはもう、城のようにでかかった。ドーム級の広さだな。白くて綺麗な家だ。豊かな森に囲まれ、そこだけは別世界のように見える。一つの国みたいだ。
だからあたしは大口開けて固まってしまった。
メイドがずらりと並んでプーを待っている。日本なのに。日本なのに。
「ね。安らぎの空間ではないでしょう」
「……」
「呆けているようでありますね。アマネル・マープ様。小娘の服を脱がして頬ずりをし、存分に堪能しても宜しいでしょうか」
「だからそういうことはしなくていいって……」
あたしが呆けている間にまたメイドがあたしの体目当てで話を進めている。許可を得るのはこっちの方だろうが。プーに訊いてどうする?
「あまりいたくなかったら、送っていくけど、どうする?」
「……いや。いい」
「そう。なら入って」
おかえりなさいませの大音声に伴い、自動ドアが開く。ウィーンと機械音がする。
靴のまま入るところも日本の家じゃないな。
ま、取り敢えず中を見せてもらうか。人の家にはあまり行ったことがないし、プーほどの家となると一生出会えないかもしれないしな。
中を見渡すと驚くほどの殺風景だった。あの性格を考慮すると、壺やら絵画やらには興味があると思っていたのに、まるでない。どうした、この城はプーのものじゃないのか。
あたしが何も感想を言わないでいると、プーが振り返ってこっちを見た。
「……つまらない?」
「ん?」
「つまらなかったら帰ってもいいよ」




