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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
1.深海の国の王様と不良なあたし

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子供の遊びでボロ負けする黒江

「志望動機。何故、どうして。ぼくの経営する店舗で働きたいと思ったのか。何故働く必要があるのか。どうしてゲームセンターなのか。それを教えてくれる? 履歴書は要らないから、きちんと答えて。答えられないのなら、雇わないよ」

 イライラした顔でプーが早口に説明した。これだから頭のいい奴は困るんだよ。

「なんだよそれ。あたしの頭が追いつかない……もっとゆっくり言ってくれ」

「志望動機を調べてから出直せ。以上」

 プーはそう言ってあたしの砂の城の横に砂の城を作った。あたしよりも速く、クオリティの高いものを作りやがる。なんでそうまでしてお前は自分の有能さを見せつけるんだ。

 あたしは半眼で睨んだ。

「……お前、あたしに喧嘩売ってるよな?」

「迎えが来るまで遊んでいようと思って。べつに喧嘩を売ったつもりはないけど、買いたいならどうぞお好きに」

 ということは、あたしを家に連れて行ってくれるのか。

 それはありがたいな。これで少しでもあの親が心配くらいすればいいんだが。

「ふーん。そうか、ならあたしは絶対お前を負かす!」

「やれるものならやってみれば。絶対に負けないけど」

 再びプーとあたしのバトルが炸裂した。もちろん、あたしのボロ負けだ。

「あたしの本気……いつか見せてやるよ」

「残念。ぼくも本気出していないんだけど。十%も出していないよ。その程度かな? 幻滅だね。呆れを通り越して感動してしまうよ。負け犬の遠吠えが聞こえてくるようだね」

 ぺらぺらと悪口を並べるプー。減らず口のクソガキだな、お前は。

「勝者の余裕ってやつか? 今に見てろ。絶対足元すくわれるからな」

 プーは勝ち誇った笑みであたしを一瞥いちべつした。それから相好そうごうを崩した。

「……楽しみにしているよ」

 ……なんか、いい顔してるな。お前のその顔は好きだ。

 あたしも砂の城をもう一度作った。

 仮にも高校生がこんなガキみたいな遊びをしていて、いいのか?

 あたしはつい笑い声を漏らしてしまった。プーが一瞬こっちを見て、また作業に戻る。

「笑うことでもないでしょ。子供の遊びをするのも大切なんだから」

「……ああ、そうだな」

 優等生かと思っていたけど、プーもある意味不良だな。

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