子供の遊びでボロ負けする黒江
「志望動機。何故、どうして。ぼくの経営する店舗で働きたいと思ったのか。何故働く必要があるのか。どうしてゲームセンターなのか。それを教えてくれる? 履歴書は要らないから、きちんと答えて。答えられないのなら、雇わないよ」
イライラした顔でプーが早口に説明した。これだから頭のいい奴は困るんだよ。
「なんだよそれ。あたしの頭が追いつかない……もっとゆっくり言ってくれ」
「志望動機を調べてから出直せ。以上」
プーはそう言ってあたしの砂の城の横に砂の城を作った。あたしよりも速く、クオリティの高いものを作りやがる。なんでそうまでしてお前は自分の有能さを見せつけるんだ。
あたしは半眼で睨んだ。
「……お前、あたしに喧嘩売ってるよな?」
「迎えが来るまで遊んでいようと思って。べつに喧嘩を売ったつもりはないけど、買いたいならどうぞお好きに」
ということは、あたしを家に連れて行ってくれるのか。
それはありがたいな。これで少しでもあの親が心配くらいすればいいんだが。
「ふーん。そうか、ならあたしは絶対お前を負かす!」
「やれるものならやってみれば。絶対に負けないけど」
再びプーとあたしのバトルが炸裂した。もちろん、あたしのボロ負けだ。
「あたしの本気……いつか見せてやるよ」
「残念。ぼくも本気出していないんだけど。十%も出していないよ。その程度かな? 幻滅だね。呆れを通り越して感動してしまうよ。負け犬の遠吠えが聞こえてくるようだね」
ぺらぺらと悪口を並べるプー。減らず口のクソガキだな、お前は。
「勝者の余裕ってやつか? 今に見てろ。絶対足元すくわれるからな」
プーは勝ち誇った笑みであたしを一瞥した。それから相好を崩した。
「……楽しみにしているよ」
……なんか、いい顔してるな。お前のその顔は好きだ。
あたしも砂の城をもう一度作った。
仮にも高校生がこんなガキみたいな遊びをしていて、いいのか?
あたしはつい笑い声を漏らしてしまった。プーが一瞬こっちを見て、また作業に戻る。
「笑うことでもないでしょ。子供の遊びをするのも大切なんだから」
「……ああ、そうだな」
優等生かと思っていたけど、プーもある意味不良だな。




