志望動機を訊かれる
「ぼくがそんな悪い王に見えると……? そう言いたいんだよね、黒江さん」
がしっと腕を掴まれ、あたしは技をかけられないようにプーの腕を掴み返した。
「そんなことをしても無駄だよ。人間の技以外も習得済みだから」
プーの双眸が真っすぐあたしを射抜く。
おお、ぞっとしたぞ。そこらの不良よりおっかないな。
「というのはもちろん本当だけど。べつに技をかけようとしてるわけじゃないから」
「そ、そうなのか」
プーがあたしの腕を離したので、あたしも掴んでいた手を離すことにした。
じゃあ一体なんのためにあたしの腕を掴んだ。意味のないことだったのか。
「うん。それより、あなたのことを訊きたいんだけど」
「なんだ?」
「どうしてバイトをしたいと言ったの?」
「……」
あたしは訊かれて咄嗟に答えられなかった。こいつに言うべきかどうか迷ったんだ。
あたしの家の事情を詳細に話して同情を誘うなんてこと、したくないしな。
「店長である以上、バイトを希望している人なら……どんな人にも志望動機を訊かなくちゃいけないからね。仕方なく」
「あたしはそこらへんの奴らより重いぞ」
「いいよ。話せることならなんでも話して。可否はあとで教えるから」
あたしの前置きをプーは軽く流した。
「なら言うぞ……」
あたしはプーがしっかりと頷いたのを確認して、長々と自分の話をした。
途中、プーが変な顔をしたが、あたしは話し終えるまで何も言わないことにした。
誰かに話せてすっきりしたぞ。プーもたまには役に立つな。
「それで。志望動機は?」
「何だそれは。脂肪の同期なんていないぞ。みんな細い」
「……」
蔑んだ目で、しかも無言で脅迫される。なんで不良のあたしが、こいつに気圧されてるんだよ。こいつ、どんだけ凄みあるんだよ。




