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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
1.深海の国の王様と不良なあたし

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プーと鉢合わせる黒江

 今にもあたしをどうにかしてしまいそうで、なんだか違う世界の人間みたいだ。

 あたしみたいな不良じゃない。このおっさん、本物の悪い奴かもしれない。

「気付いたか」

「ああ……あんた、あっちの世界の住人だな」

「よく知りもしねえで言うわい」

 クックッと笑って、おっさんはすごんだ。

「当たってるんだろ?」

「いいや……ちげえねえ」

 どっちだよ。あたしはそう言い返したくなったが、やめることにした。

 おっさんの事情に同情しても、あたしにはなんの得もないからな。

 人のことより自分のことの方が不安だよ。あたしのお先真っ暗だからな。

 でも、誰かと話ができるのって、やっぱりいいことだよ。あたしは誰とでも話がしたい。あたしの話を聞いてくれる奴がいて欲しい。あたしのことを全部受け止めてくれる奴、そんな奴がいたらいいのに。そしたら結婚でもなんでもしてやるよ。

 あたしは公園の砂場でガキみたいに砂の城を作った。

「……」

 昔はこうやってダチと一緒に遊ぶ機会もあったのにな。

 あたしだけ過去に取り残された気がするよ。思い出と共に、置き去りにされてしまったよ。みんな、いい子ちゃんになってしまった。あたしを置いてみんなは駆け出した。

 時刻は何時くらいだろう。二十二時を過ぎたあたりか。

 どうせ親は帰ってこない。今日は二人共飲み会だ。あたしを置いて楽しんでいるだろう。

 あたしは一人遊びで気をまぎらわせる。

 そこへ、あのクソガキがやってくる。鳩が豆鉄砲食ったような顔をたずさえて。

「……黒江さん、どうしてこんなところに」

「お前こそ、こんな失業したおっさんのたまり場なんかになんで」

「失業したおっさんのたまり場? そんなの聞いたことないけど。ここは公園だよ」

「いや。お前ここ知らないだろ」

「ううん。知っているけど。ぼくの家、この近くにあるから」

「は? お前、こんな近くに住んでるのか?」

「そうだけど。来たかったら来てもいいよ。深海の国より貧相な家だけど」

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