プーと鉢合わせる黒江
今にもあたしをどうにかしてしまいそうで、なんだか違う世界の人間みたいだ。
あたしみたいな不良じゃない。このおっさん、本物の悪い奴かもしれない。
「気付いたか」
「ああ……あんた、あっちの世界の住人だな」
「よく知りもしねえで言うわい」
クックッと笑って、おっさんは凄んだ。
「当たってるんだろ?」
「いいや……ちげえねえ」
どっちだよ。あたしはそう言い返したくなったが、やめることにした。
おっさんの事情に同情しても、あたしにはなんの得もないからな。
人のことより自分のことの方が不安だよ。あたしのお先真っ暗だからな。
でも、誰かと話ができるのって、やっぱりいいことだよ。あたしは誰とでも話がしたい。あたしの話を聞いてくれる奴がいて欲しい。あたしのことを全部受け止めてくれる奴、そんな奴がいたらいいのに。そしたら結婚でもなんでもしてやるよ。
あたしは公園の砂場でガキみたいに砂の城を作った。
「……」
昔はこうやってダチと一緒に遊ぶ機会もあったのにな。
あたしだけ過去に取り残された気がするよ。思い出と共に、置き去りにされてしまったよ。みんな、いい子ちゃんになってしまった。あたしを置いてみんなは駆け出した。
時刻は何時くらいだろう。二十二時を過ぎたあたりか。
どうせ親は帰ってこない。今日は二人共飲み会だ。あたしを置いて楽しんでいるだろう。
あたしは一人遊びで気を紛らわせる。
そこへ、あのクソガキがやってくる。鳩が豆鉄砲食ったような顔を携えて。
「……黒江さん、どうしてこんなところに」
「お前こそ、こんな失業したおっさんのたまり場なんかになんで」
「失業したおっさんのたまり場? そんなの聞いたことないけど。ここは公園だよ」
「いや。お前ここ知らないだろ」
「ううん。知っているけど。ぼくの家、この近くにあるから」
「は? お前、こんな近くに住んでるのか?」
「そうだけど。来たかったら来てもいいよ。深海の国より貧相な家だけど」




