なんでもできてしまうお前が羨ましいよ
人を惹き付けるような魅力がないんだろうな。ダチも少ないし。
あたしの性格が悪いのか、それとも頭が悪いのがいけないのか。頭がいいプーみたいになれば、あたしも人に好かれることができたのだろうか。
いや、あたしはプーみたいにはなれないな。
「どんなに頑張っても叶わないことってやつだ……」
生まれ持っての容姿以外、あたしは人に自慢できるようなところがないからな。あたしが今まで頑張ってきたスポーツだって、あたしにはなんの足しにもならなかった。初めから才能がなかったんだ。それ以外のことだって、あたしのものになってくれなかった。
なんでもできてしまうお前が羨ましいよ。あたしの欲しいものを全部持っているお前が。
あたしは化粧し終えて、家を出た。
このまま夜の旅にでも駆り出したい気分だ。
近くの公園に行った。失業したおっさんどものたまり場といわれている。今日は一人のおっさんがブランコに座っていた。あたしが近くに行くと、おっさんはこちらを向いた。無精ひげを生やしていてだらしない奴だ。きっとやつれてしまったんだろうな。それからショボショボの口を開いた。
「あんたもわけありかい」
「ああ、そうだよ」
「あんたみたいな若い奴が、こんなとこ来ちゃいけねえ」
おっさんは首を振ってあたしに忠告した。
「そんなの、お前に関係ないだろ。あたしの好きにさせろ」
「わしみたいなのもいれば……悪い奴もいる。あんたを利用しようとする悪い奴もいるのさ。小奇麗にしくさって、あんた襲われでもしたら……」
あたしのことを心配してくれているのか。親にすら心配されないあたしを、気遣ってくれるのか。お前、いいおっさんだな。妻も子もいるのか?
「お前。なんでそんないい奴なのに、失業したんだ?」
「べつに失業しちゃいねえ。家族に追い出されたんでい」
おっさんは鬼気迫る顔であたしに肉薄した。度胸の据わったあたしでもびびるぞ?
あたしは一歩、二歩後退して、おっさんから離れた。
「いい奴に見えるかい。そりゃあんた、見る目がねえな」
おっさんはだらしない顔の割に、ぎらぎらした目であたしを見た。




