テレビに取材されているプー
このままこの生活を続ければ、遅くないうちにあたしは病気になる。
野菜とか、肉とか、魚とか、もっと食べたいものがあるんだよ。だから、バイトして金貯めて自分を養えるようになれば、親にカップラーメンを食せとは言われなくなる。
その方があたしの人生にはいいはずなんだ。
湯を入れてから三分待つ。なんとはなしにテレビをつけて、チャンネルを回した。
「……なっ?」
なんとプーが取材されていた。
まさかあたしを追い返したのは、そのためだったのか?
あたしはてっきり邪魔者だから追い出したのだと思っていた。そんなこと一言も言ってなかったしな。あたしに教えることじゃないかもしれないけどさ。
プーはテレビの中で、笑顔で経営のなんたるかを語っていた。楽しそうに話すなあ。
いつも決まってプーは客のことを第一に考えている。客のためならば命令されても構わない精神はなんだか心が痛むぞ。貧乏なプーが頑張って客に尽くしている姿が浮かぶ。
「お前……そんなにお客様のこと大好きなのか……」
あたしはいつの間にかテレビに釘付けになっていた。
あたしをここまで魅了するなんて、テレビ番組も中々やるな。面白い。受けて立ってやる。
あたしはテレビを掴んで、間近でガン見した。
ガン見して勝負すること数十分。カップラーメンは伸び切っていた。
「だがあたしは伸びたラーメンも好きなんだ……カップラーメンじゃなければな……」
涙が出そうなくらい心細い気持ちで、カップラーメンをずるずると啜った。
観たい番組がなくなって、あたしは暇になった。親も帰ってこないし、散歩でもするか。
化粧とかすれば高校生だってこともばれないだろうし。
二階に上がって、母親の化粧品を勝手に使って、それなりに上手いメイクをした。
「やっぱりあたしは美人だな」
褒め称えつつ、ミラーの前でポーズを取る。そうだ、あたしはナルシズム入ってるさ。
この自慢の黒髪も、長い睫毛も、母親とは似ても似つかない。誰に似たのか、不明だ。本気出せばモデルにだってなれるし、これでミスユニバースだって狙えるぞ。磨かなくても光っている原石だからな。
でもあたしにはカリスマがない。




