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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
プロローグ 生意気なクソガキが行き付けの店の店長さんでした
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自己紹介

 鏡の前で自分の整った顔を眺めて、ばっちりとポーズを取る。あたしは自他共に認める美人だ。性格さえどうにかなれば、モテモテになれる。黒髪のボブも手入れを欠かさないし、長い睫毛と大きな黒目はあたしのチャームポイントだ。化粧をしたら、もっと麗人になれるかもしれない。鼻梁びりょうも形がいい。スタイルも完璧。胸も尻も出ているし、くびれもくっきりしている。これだけ美しいあたしに、魅力を感じない奴がおかしい。

 心中で自画自賛しつつ、あたしは今日から通う学校に向かった。

 面倒くさい始業式の挨拶が終わって、教室で自己紹介をすることになった。出席番号順に並んでいるので、あたしの席は窓際の一番後ろだ。授業をサボれる場所だな。あたしは視力がいいから、一番後ろの席でも申し分ない。

 あたしの前の奴の自己紹介が終わりかけると、あたしは脳内で必要な情報を組み立てる。何を言うかは先に考えておかないとな。

 席を立って、みんなに向かって挨拶をする。笑顔が肝心だ。

「あたしの名前は黒江飛香くろえあすか。誕生日は四月十三日で血液型はB型。趣味はゲーセン。クソガキを絞めるのが好き。()()()()はぶち殺し歯抜き。こんなあたしだけど、よろしくな」

 あたしが自己紹介をすれば、教室にいる奴らは皆、目を丸くした。奴らは席が近くの奴とひそひそ話をして、あたしをちらちらと見てくる。あたしの悪評も伊達じゃないな。

 『我が校始まって以来の不良』って先公どもに噂されているのを、盗み聞きした覚えがある。あたしが不良なのは今に始まったことじゃない。自分で言うのもなんだが、ちょっとは大人しくなったもんだよ。昔はもっと荒れていたさ。

 それにしても……今回の先公も、あいつらと同じか。あたしをそういう目で見る。汚いものを見るような、冷ややかな目で。変なものを見るような目で見るんだ。お前は仲間なんかじゃないんだぞ、敵なんだって視線でわかる。お前らの考えが透けて見えるようだ。

 同性だから余計に、あんたの気持ちはよくわかるよ。あたしは厄介者だろ? 知ってるさ、そんなこと。誰だって自分の功績が一番で、面倒事は引き受けたくないだろうさ。

 これでも、あんたが悪いんじゃないってことも、わかってるつもりだよ……。


 仲良くしていたダチと別れて、一人だけB組になった。薄情者。先公どもの余計な画策のおかげで、あたしは一人だ。新しくダチを作るのなんて、面倒に決まっているじゃないか。なんで余計なことをするんだ。

 一人でいるのが平気そうとか、よくいわれるが、流石に一人はいやに決まっている。みんなと一緒に飯を食べた方が、楽しいだろう? 一人で飯を食べるのなんて、くそくらえ。

 寂しいじゃないか。一人は、いやだ。

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