どうしてもと言うなら、名案がある
プーの言っていることは正しい。あたしの言葉なんてダチでさえ信じてくれるかどうかわからないもんな。あたしが信じてないだけかもしれないが、そんな話したって、誰も喜ばない。告げ口は気分が悪くなる。
あたしが暗い顔をしていると、プーはフォローをするように付け足した。
「これは安馬としての戯言なので聞き流していただいても構いません。あまり自分の首を絞めるようなことはなさらない方が宜しいかと」
「それでも。あたしを認めてくれる奴はいると思う」
「現れるといいですね。そのような方が」
「お前が最初の一人になってもいいんだぞ」
あたしは再度プーにチャンスをやった。何度でもチャンスをくれてやるが。
あたしは腰に手を当てて、プーを見下ろした。プーはフゥと溜息を吐いた。
「……お帰りください」
「そんなに溜息ばっか吐いてると幸せ逃げてくぞ」
「お客様、お家の方が心配しておられるのではないでしょうか」
相変わらずあたしもこいつも人の話を聞かない。
「あたしは家出したい気分なんだよ。それに、あたしの家のことは関係ないだろ」
「ゲームセンターの店長として、未成年の夜遊びは禁止しなければいけませんので。お帰りください。もう二十時を過ぎています。お家が遠ければもっと時間が経ってしまいます」
あたしのことを心配している保護者のようにプーが言った。
あたしを追い出すには体のいい文言というわけだ。まあ何時にもなって家に帰らなかったら補導されるから面倒事が起きるだろうな。おまけにプーも学校にばれて店長はクビ。
……ん? そうなったらあたしの方が得するんじゃないか?
プーがクビにならないようにあたしが手助けしてやると言えば、快く引き受けるだろう?
その手があったか。後で思い付くなんてな……ちょっとだけ頭回ってないぞ。
「おい。いい案があるぞ」
「ですから、お帰りください」
「あたしが補導されればここのゲーセンのことがばれる。そんでもってお前のこともばれる。だがあたしを雇えば……補導されない。どうだ。中々いい案だろ?」
「帰らないおつもりですか?」
「そうだ。あたしを住み込みで雇え。いいな?」
「お客様の意には添いかねます」




