また始まる漫才
「お前が女装して色んな人間に媚を売る姿とか、想像してないからな」
「……あなたのこと、軽蔑します」
しまった。本当のことを言ってしまった。あたしはなんて正直な奴なんだ。自分で自分が可愛いぞ……本当に愛しい奴め! 損することしか考えてないな。
「ケーベツしたら損するのはお前だからな」
「何故私が損するのでしょう」
「あたしのダチ第一号になりたいくせに、強がるなよ」
「寝言は寝て言え」
「おい。今タメ口になってたぞ? 客に対してそんな口利いていいのか? それにあたしらの行ってる学校、特別な理由がなけりゃバイトしちゃいけないんだろ。ばらすぞ?」
「……お客様ですか? ではなんなりと」
プーの考え方、執事みたいだ。漫画で読んだぐらいの知識しかないけどな。
「なら命令してやる。あたしは客だ。女装してあたしを雇わせてくださいと言え」
「申し訳ありません。当店では草刈り機は取り扱っておりません」
「なんだその答えは。あたしを笑わせる気か?」
「そのようなつもりは毛頭ございませんが」
女装はやめて、雇わせることだけを言ってみるか。
「そうか。よし! あたしを雇え! そしたら学校にもこのことは黙っててやる!」
「却下します」
あたしは笑顔で決めポーズを取って脅した。プーはゴミを見るような目で即答。
「ハァ? なんでだよ!」
「お客様のような方を雇うのは、私の意思に反します」
「な……お前! あたしは仮にも客だぞ? じゃあばらすぞ! 学校中にばらすからな!」
あたしは口をつくままに叫んだ。どうだ、これで参ったか。
だが、プーは平常心を保ったまま、鋭い眼差しで返答する。
「どうぞ。お客様のなさることに私どもは一切口出し致しません。お好きなようになさってください。ただ……僭越ながら、一言申し上げますと、彼らはお客様の言葉を信じてくれるのでしょうか」




