子供に優しい店長の姿
子供が筐体の中の景品とにらめっこしていると、プーがクレーンの腕前を見せようとする。十円玉を入れて、いざ尋常に勝負! って感じだな。子供は心配そうに見守っている。
アームを上手い具合に動かし、景品を掴んだ。そのまま筒まで持って行き、綺麗に穴に通した。なるほど、ゲーセンの店長なだけはある。腕前も十分だ。
「はい取れた」
景品口に現れた景品のぬいぐるみを子供に手渡した。
「わあっ! やったあ!」
「お代は要りませんよ。また来てくださいね」
「うんっ! ありがとうお兄ちゃん!」
子供は景品をぎゅっと握り締め、プーに満面の笑みを向けた。
「どういたしまして」
去って行く子供に手を振りつつ、プーは返事をして、頭を下げた。
「ありがとうございました」
「……」
「お客様。何かご用でしょうか」
あたしの方を向かずに、プーが声をかけてきた。機械的で感情がこもっていない。
「お前、結構やるな」
「店長ですので、お客様には楽しんでいただきたいのです」
ようやくあたしの方を振り向いて、いきいきとした表情を見せる。
なんだかいいなと思ってしまったのは気の迷いだろう。こんなクソガキのこと、大嫌いなんだからな。絶対にそんなことないぞ。ありえないからな。
「そのためならばなんだって……できますから」
「なんだって、できるのか?」
「はい。お客様のご命令とあらば、なんでも致しましょう。私ができることであれば、なんだってできますとも」
「そんないやらしいこと言うなよな……」
あたしは思わず顔を覆ってしまう。こんなクソガキが色々なことをして悪い人間に騙される姿を、あたしは放っておけないぞ。お前にはまだ早い。体を売るのはやめておけ。
「あなた、今何を想像しました?」
訊かれて、あたしは咄嗟に言い訳を思いつく。




