ぼっけぇもちゃづけ
決してやましい感情がないのに、見ている奴らは変な目で見てくる。見世物じゃないんだからな? プーもクリクリもなんでツボに入ってるんだよ。腹抱えて笑うなっての。
ここは感動の名場面だろうが!
「見た? 黒江さんが……『あたしも大好きだよ。キリッ。ドヤッ』って顔してたの! とても女性とは思えない言動だよ! お腹痛い……どうしよ、涙出てきちゃった」
「カメラを回しておけばよかったです! 小娘があんな顔をして、あんないたいけな小娘を誘惑している姿を……ああ、勿体ない。勿体ないでございます。アマネル・マープ様」
二人してあたしのことを小馬鹿にしやがって……。なんであたし、あいつのことが好きなのか、わけわからなくなってきたぞ。あたしはマゾか? マゾヒストか?
「気持ち悪いですね」
「いや……カッコイイと思うよ。サカナくん、ちょっと厳しすぎ。めっ」
「いや、あんな顔で言われても……。自分に酔っている人にしか見えないので、気持ち悪いです。本当に気持ち悪くて吐き気がします」
そうだ。あたしは自分に酔っているぞ。だが、お前に気持ち悪いと言われても傷付かない。あたしより断然お前の方が気持ち悪いと思うからな。なよなよ男なんかにあたしのよさがわかってたまるか。アホマヌケムッツリ。プー教のストーカー野郎。
あたしは阪中に向かって、あっかんべーしてやった。羨ましくても絶対にお前なんか、仲間に入れてやらないからな! お前は一生童貞だ!
「とても面倒……」
「ぼっけぇ?」
どこの方言だ。プリパッツンも聞き返しているぞ。
「僕の故郷の方言です。気にしないでください。あのクソアマ、覚えてろ」
「サカナくん、本性出てるよー」
阪中、お前優男の顔しておきながら……やはり、腹黒クソ野郎だったか。
あたしは鼻を抓んで、奴のクソ臭さを表現してやった。体臭がするくらいクソ臭い。
「一発……いいや、何発か、はっとばさねば……」
あいつ、あたしより喧嘩っ早くないか?
「どうどう。落ち着いて」
プリパッツンが阪中を羽交い絞めにしている。巨体だけあって、力も物凄い。やるな、プリパッツン。お前、女力士を目指したらいいと思う。名案だろう。お前の身体を生かせる、いい職業だと思うが、お前がよければ応援してやるぞ。




