まるで夫婦漫才
「低能だとは言ってないんだけど。ぼくだってそこまでは言わないよ。あなたにだって隠れた才能があるかもしれないし。探したって一個も見つからないけどさ」
さっさと見つけろ。あたしは才能に満ち溢れているぞ? 何故見つからないんだ。それでもお前、ゲーセンの店長か? 情けないぞ!
一言言い返してやろうと思ったが、ドアが開け放たれ、タイミングを逃してしまった。
「店長、ここにいらっしゃいましたか」
ドアを開けた人が一人、立っていた。プーに雇われている店員だ。
歳はあたしと同じくらい。プーとは真逆な感じの優男。何故こんなクソガキに従えるんだ。お前、それでも男か。男なら力で捩じ伏せろ。店長の座くらい勝ち取ってやれ。ここにいる弱そうな奴をぶちのめし、叩きのめせ。そしたら惚れてやらなくもない。
「ああ。すまないね。お得意様がぼくを呼んでいるのかな」
プーは席を立ちながら店長らしく堂々とした口調で応対した。
「そうです。流石店長。応対お願いします。僕じゃ荷が重くて」
「プー」
「なんですか、お客様。屁をこきたいのですか」
「お前のことだよ! 誰が屁こきだ!」
「僭越ながらお客様。私はそのような名前ではございません。安馬とお呼びください」
深々とお辞儀をするプー。なんでこういう時だけ態度が無駄にいいんだ。
「お客様……ですか?」
「そうだよ。こいつとは同じ学校なんだ」
「……不本意ながら」
何が不本意だ。本当は嬉しいくせに、面倒くさい奴だ。フォローしないぞ。
「そう……なんですね。それでスタッフルームに」
「だけど、もう連れて来ないから安心して。今日だけだから」
「はい……」
この優男の店員はあたしが苦手なのか? 見学ということで大目に見てくれたりはしないのか。ケチな奴だな。あたしが店員だったら大目に見てやるけどな。
「ちょっと待て。今日だけだと?」
「何か問題でも?」
「大有りだ!」




