プーは引率者に相応しい
おい、プー。お前も止めろよ。火種になっているのはあたしとお前ということにされているぞ。ジトッとした目をしていないで、何か言ったらどうだ。
「あのさあ……」
お、何か言いかけたぞ。
「面倒だから、ここでやらないで海に行ってからやってくれる? 目的地に着いたら、幾らでもつまらん争いしてくれていいから。不毛な会話やり続けていいから」
この面白い戦いをつまらんと吐き捨てるプー。お前が面白いと思う戦いはどんなのだ。
「しかし、アマネル・マープ様……」
「安馬様、これは日和たちの問題なのです。口を挟まないでいただけますか?」
「誰が海に連れて行くと思ってるの? ええ? 二人で行きたいなら勝手に行けばいいじゃない。他の人に迷惑がかかるの、わかる? わかるよね、馬鹿じゃないなら。わからないなんてとんだ大馬鹿者だね。恥知らずだね。ああ、ああ、恥ずかしい。顔から火が出てしまいそうな恥ずかしさを今味わっているよ……どうしたらいいかな、この気持ち!」
プーがつらつらとがなり立てて、二人は畏縮した。
あの日和までビビらせるとは、プーは本当に凄い奴なんだな……。
「も、申し訳ありません……」
「すみません……。安馬様…………素敵」
おい、今浮気していなかったか? なんか、ハートマーク付きそうなくらい艶のある声出していたぞ。お前、あたしだけじゃなくて、カッコよければ誰にでも目移りするのか。
箱入り娘ってやつだったか……。
「わかったらいいよ。さっさと行こう」
プーに付いていく一同。あたしが言ってもクリクリは聞かないだろうからな。やっぱりプーが適任か。店長としても引率者としてもプーが頼りになることは決定している。
でもあたしも、もうちょっとみんなに頼ってもらいたいんだが。
電車に乗って、みんなで遠出だ。こんなことするのも初めてでわくわくしている。
隣に座る日和もニコニコとしていて楽しそうだ。
「楽しいですね。黒江様」
「ん……ああ、それならいいが。お前、クリクリともっと仲良くしないと、面倒だぞ」
「クリクリ? あのメイドさんのことですか?」
「そうだ」




