朝華のなでなで、届かない
二人はあたしを慰めた。こんなこと言ってくれるダチなんてお前ら以外いないぞ。いい奴すぎてあたしの心の汚れが洗われていくようだ……くそ、涙ぐんできた。
「水着買うの、やめる」
「え? いいのですか……? 黒江様の水着、新調した方が宜しいですのに」
「うん。いいんだ。お前らにしてもらったから、あたしも返さなくちゃな」
「黒江……いい子」
朝華が背伸びしてあたしの頭を撫でようとする。が、微妙に届かない。
「代わりに、日和が黒江様の頭を撫でて差し上げましょう。なでなで」
「あ、ありがとな……」
小さい子に頭撫でられるなんて、ちょっと恥ずかしいぞ。
でもあたしはされるまま。周囲の人間にちらちら見られて、あたしは注目の的。ひそひそ話のタネ。もうどうにでもなれ。そしてあたしを見ろ! この麗しの黒江飛香様をガン見して、おおっとなるがいいさ!
あたしは腰に手を当てて、ふんと鼻を鳴らした。
「黒江……変な子」
「あたしはいい子なんだろ?」
「そうですよ、朝華。黒江様に失礼は許しませんよ」
あたしの頭をわしゃわしゃしつつ、日和は朝華に注意した。
「ごめん」
「宜しい。反省するのですよ」
プクッと頬を膨らませて、日和はプリプリしていた。そんなにプリプリすることか。
プー教ならぬ黒江教か……開祖は日和だな。これから人が増えること、祈っているよ。
海に行く日がやって来た。
水着は買わず、自前の水着で行くことにした。髪型はあんまりしないポニーテール。日和にやり方を教わった。練習でやった時は、よく似合っているとも言われたな。
確かに、あたしの綺麗な輪郭が出ていて、美しさを際立たせているが……プーが好きだとは限らないし、もしかしたら阪中を落としてしまうかもしれない。そうなったら困るな。
「飛香。お友達来ているわよ」




