日和と朝華を海に誘う
日和は歓喜の顔をしていて、朝華も顔には出ていないが喜んでいると思う。多分。
「バイトメンバーでさ、今度海に行くことになったんだ。お前らも一緒にどうかなって」
「まあ……それはよいですね。でも黒江様」
ずいと日和が近付いてきた。相変わらず神々しいくらいの美少女っぷりだが、危険だ。
「ああ、なんだ」
「黒江様をお誘いしましたよね。この間、日和たちのボディーガードになってくださらないかと。なのに、黒江様はプー様、いいえ安馬様と同じところで働いていらっしゃるとは……日和は納得いきません。日和だけの黒江様ですよ? 違いますか?」
「お前、さらっと爆弾発言しなかったか? 誰がお前のものだって?」
「いいえ。ものとは申しておりません。日和だけの黒江様です」
「そんな細かいことはどうでもいいんだよ。で、来るのか来ないのか」
「わたしは行きたい」
「そうか……朝華だけ連れていくからな」
「ええー、そんな。朝華も行くなら日和も行きます! 黒江様、日和を仲間外れにしないでください。酷くありませんか?」
「べつに酷くないぞ。お前の扱いはこれくらいが丁度いいと思ったしな」
へへと笑って、あたしは日和をからかってやった。いつもからかわれているから倍返ししてやったぞ。どうだ、あたしのお茶目さが光るからかいも乙なもんだろう。
「もう……黒江様はそういうところが素敵なのですよ」
そんなあたしにメロメロかつ腰砕けな日和に大笑いするあたしたち。
この関係が始まったのはプーのおかげじゃないかもしれないが、プーの影響も少なからずあるだろう。あたしに人と話をする余裕をくれたのも、恐らくプーだ。
あたしはプーには頭が上がらない。これからもそうだろうな。
「黒江様……黒江様にお聞きしたいことがありました」
「なんだ?」
「黒江様は安馬様のことがお好きですね?」
「ぶぼぁ」
あたしは突然の申し出に噴き出した。
「その反応は……そういうことなのですね」
「ん……ああ……。そうだな」




