プーの里帰りが決まる
「います。プー店長、全然関係ないのに、ありがとうございます」
「いいよ。もうすぐ帰るし」
「……え?」
あたしではなく、店員たちが唱和した。
「うん。そろそろぼくは故郷に帰るんだ」
「あ……プー様はこの国の人ではなかったのですか」
「うん。黙っててごめんね。だから最後の思い出作りに、みんなと親睦を深めようと思う。それに、黒江さんを正規雇用することも決まったし、黒江さんとも仲良くして欲しいな。前の店長が戻ってくることになるから、一応言っておいたけど、宜しく伝えておいて」
「そんな……いやです。僕は店長の下で働きたいと思って、ここまで頑張って参りました。なのに……僕に何も言わずに決めてしまわれたのですか。あんまりじゃないですか」
阪中は震え出した。プーとの別れを惜しむのはわかるが、我儘な奴だな。女だったらわからんでもないが、お前はそれでも男か。いつまで経っても気に食わん。
男だったら、突然の別離くらい、前を向いて笑顔で送ってやれよ。
「ごめんね。もう決まったことだから」
プーは謝っているが、気持ちが籠らない言い方をした。無責任な感じもするが、決まったことを覆すのも色々と手間がかかるだろう。阪中もそこで諦めて受け入れろよ。
プーは薄情な奴だから、仕方ないって思っとけ。
「そう……ですか」
阪中はそれ以降元気をなくして、あたしに憎まれ口を叩くこともなくなった。
他の奴らはプーと話をしていたのに、奴だけは一言も喋らなくなった。いつまでいじけているつもりなんだ……。全く、これだから駄目な男は。
翌日。あたしは日和と朝華を前言通り誘うことにした。あたしは二人を呼び付ける。
「日和。朝華。ちょっといいか」
「なんでしょうか、黒江様」
「何か用」
バイトで忙しくしていたために、二人とこうやって話をするのは久しぶりなような気がするが、べつにそんなことはない。昼は一緒に食べていたしな。ちゃんと話をするのは久々なだけだ。




