いつの間にか……
なんだかプーのこの言葉は、もうすぐ別れが近付いているように聞こえたんだ。
だったらもう大丈夫だよねって続きを言われそうで、少しだけ……少しだけ怖くなった。
あたしはこいつといることが、こんなにも楽しく、愛しく思えるようになっていたんだ。
「いえ。なんでもございません」
あたしが頭を振って否定すると、プーはあたしをじっと見ただけで何も言わなかった。
プーのことだから、言わずともわかっていることだと思うが。
「あの……プーさん」
「ええ? ぼくのことは店長と呼んでよ。それじゃ別の誰かになってしまわない?」
プー様と呼べばいいのか?
「店長にお訊きしたいことが……」
「何かな」
「店内には誰もおりませんが……大丈夫なのでしょうか」
「大丈夫だよ。お客様がもう帰ったことは把握してる。店ももう閉めるから。今何時だと思う?」
「二十一時頃だと……思いますが」
「んーん。もう二十二時五分前。みんなには残業代も出すから」
プーが腕時計を見せてくれた。針はプーの言う通りの時間を差していた。そんなに時間が経っているとは、思わなかったが……時間が経つのは早いな。
プーが指示を出して、今日のところは一先ず解散ということになった。後日企画を進めていき、キャンペーンの最終確認なども行うそうだ。企画段階では成功と見ても、できない場合もあるらしい。途中でリジェクト、つまりポシャにされることもあると。
初めての企画だ。ポシャにされても仕方がない。でも、できれば成功を収めたい。
「みんな、ご苦労様。今日はよく働いてくれたね。黒江さんも研修ご苦労様」
「ありがとうございます。お疲れ様でした」
プーに一言挨拶を言ってから、あたしは帰ることにした。
プーのことを侮っていた頃が昔日だったように思わされる。
……そうか……、
――好きになっていたんだな。いつの間にか。




