家族キャンペーン企画、通る
「黒江さんの頑張りがよく理解できてよかったです。これで仲間になれそうですね」
各々(おのおの)喋り出して、あたしに褒美を贈る。べつに物じゃなくても構わないからな。ご褒美はもらえるだけ嬉しいものだ。
「それはよかったです」
「店長を呼んできてください」
今度はあたしがスタッフルームを出る番になったか。あたしは従順に首を縦に振り、プーとクリクリを呼んで来た。って、店内に誰もいなくなったが、いいのか?
「呼んで来ました」
「小娘。お呼びして参りました、ですよ」
「……」
敬語にうるさいクリクリが横からツッコミを入れてくる。それにはみんなも汗。
プーも苦笑いをしているし、クリクリの真面目すぎる性格に一同も爆笑している。
「人間の小僧、小娘どもが私を虚仮にするとは……」
「マロム・クリム。抑えて」
プーがクリクリの顔をふにふにと触っている。あたしも頬をプニプニしたいぞ。あたしと代われ、プー。そしてこの間あたしのおっぱいを揉みしだいた仕返しをしてやる。
あたしの企画が通り、企画を成功させるためにみんなが一致団結して事を運んでいく。
こうして誰かと協力して何かを成し遂げようと思ったこと、今までにあったろうか。
あたしは何をしても人と仲良くなれなかったから、こんなことをするのは初めてのことかもしれないな。ダチとの仲は、とっくにこじれていたよ。同じことをしなくなったら、終わりなんだ。みんな一緒がいいって、奴らは思っている。だから、あたしは仲間外れにされていたんだ。でも、恨まないよ。あたしには、仲間ができた。学校にも、バイト先にも、仲間ができた。家族とも円満な関係を築いている。
あたしの人生は、変わったよ。
「なんか……楽しいな」
「そう? よかった。あなたもそういう気持ちになれたんだね」
あたしの独り言をプーが聞き逃さずに反応した。みんながあたしの考えた家族キャンペーンを成功させるために四苦八苦する様子を見つつ。
「どうかした?」




