あたしの美声を聴け!
優男はちょっとだけあたしを認めたが、あたしのことが嫌いなようだし、今もこうして意地悪で昔のCMを歌えとか言い出すし。あたしの美声をそんなに聴きたいのかよ。
「私が代わりに歌ってあげましょうねー」
とプリパッツンが代わりに歌ってくれた。しかも意外に上手い。ビブラートまで利かせて、原曲じゃなくて自分の歌にしてやがる。鼻の穴がでかい奴は歌が上手い。これはあたしの分析による結果だ。後太っている奴は声がよく出る。細い奴より上手い可能性が高い。
あたしも分析ができるぞ!
「ありがとうございます」
歌ってくれたおかげであたしも歌詞がわかった。代わりにやってくれたみたいだが、優男はそれでは満足しないだろう。そういうことくらいはわかるからな。
「……あなたはどうするんですか」
「はい、歌います」
「………………え。歌うんですか」
そして耳を押さえる一同。あたしは音痴じゃないからな。プロ並に上手いと子供の時、親に絶賛されたぞ。そんなあたしを馬鹿にするとは、お前らそれでも先輩か!
天使のように美麗な歌声を披露してやると、全員が昇天した。聞き入ったか。
「……苦しい……」
「耳が痛いですぅ……」
「声がでかすぎだよ、クローンちゃん……」
「……僕が余計なことを言わなければ……」
どうやらあたしの声量は壁を突き抜けるらしいな。店内まで響いていると、全員がスタンディングオベーションをしているはずだが。
「お遊びもほどほどにして……再度プレゼンに取りかかろうと思います」
事態を丸く収めてから、あたしはプレゼンをした。さっきより上手くなったが、ぎこちなさはまだ残ったままだった。みんなもちゃんと見ていてくれたが、慣れないことをするのは大変だな。バイトするのも大変だということ、身に染みてわかったよ。
質問されることも全部予測していたから、きちんと回答できた。それもこれも全部、あたしの努力とプーのちょっとしたアドバイスのおかげだな。
「よくできてるじゃないー。ねえ」
「そうですねぇ。やりますねぇ」
「あなたにしてはできている方だと思います」




