当たって砕けよ黒江
企画してそれを通そうとするには、ちょっと考えたくらいじゃ駄目なんだな。
あたしは家族キャンペーンをもう一度考え直すことにした。
店員たちもスタッフルームを出て、持ち場につく。
あたしの最初のプレゼンは失敗だ。質問されることもきちんと考えて、どんなことを訊かれるか、何度も見直しして検討しなきゃいけなかった。企画って意外と難しいんだな。
プーがクリクリを引き連れてご帰還なさった。
「小娘、プレゼンはどうやら失敗したようですね」
「そうだね。失敗すると思ったよ」
「……く」
意地悪な奴だな。言ってくれなかったなんて……さ。
「言ったよね。中々いいって。初めてにしては……を省略したんだよ。ぼくの言葉の奥底にある部分もきちんと汲み取らないとね。ぼくは嘘をついていないよ。みんなにいいと言ってもらえるとも言ってない。いいように取っちゃったかな?」
プーは意地悪く、さっきの言葉の種明かしをする。
「だから何度も挑戦するつもりでやって。一度で合格するわけないじゃない。あなたは要領がいい人じゃないんだから。なんでもできるなんて思わないこと。緊張しすぎて自意識過剰にならないこと。失敗するのは仕方ないんだ。あなたは人間なんだから。繰り返しやっていけばいい。勉強だって、積み重ねが大切なんだよ。特にあなたのような人は、何度も失敗して、失敗を失敗と思わないようになれば、成長したことになるよ」
あたしの根性を見せ付けろということか。
あたしは諦めの悪い奴だ。バドミントンだって、そうだった。あたしには才能がないって、小学生の時から気付いていたのに、中学、高校の二年半ばまでは続けていた。好きでやっていた。奴らに追いつきたいがために、必死でやり続けた。何度でも立ち向かって、ぶつかってやるよ。当たって砕けて木端微塵になってやるよ。そうすりゃいいんだろ?
あたしにだって、できることはあるんだ。あいつらに一歩出遅れただけなんだよ。
あたしはできる。そう信じろ。自分を信じろ。
「はい。何度も挑戦し続けたいと思います」
「いい敬語を教えてあげよう。思いますを存じますに変えるといいよ。クリクリは教えなかったみたいだけど。まぁ、あんまり使わなくてもいいけど」
「はい」




