したいこと、見つかった
「ぼくは企画書の段階で没にはしないから、安心してプレゼンしてくれていいよ。あなたがやりたいと思ったこと、した方がいいと思ったことを企画立案してくれたらいいから。何も思い付かなければ、気付いたことをまとめれば自然とアイディアは浮かんでくるはず。それでも浮かばなければ、あなたにこの仕事は向かないと思ってやめた方がいい」
「かしこまりました」
「わからないことがあったらどんどん訊いてくれていいから。まずは自分でやってみて」
あたしは頷いてプーの言う通りにアイディア出しから始めることにした。
あたしがここでやりたいこと、改善した方がいいと思うことか……十分に満足できる環境だと思うけどな。だとしたら、あたしがここでやりたいことに絞られる。
あたしがしたいことはなんだ。
「では……早速店内を見てきます」
「いってらっしゃい」
あたしはスタッフルームを出て、店内を見渡した。子供がわんさかいて、中坊や高校生、大人までいる。みんなが笑顔で、時にはムッとして、ゲームを心から楽しんでいる。十円玉を握り締め、筐体と睨めっこしている奴もちらほら。
でもこの空間は温かくて心地いい。あたしの安らぎの空間。
この空気を吸うのが、楽しくてたまらないんだ。ゲーセンに通い始めたあの頃が懐かしい。フラッシュバックするようで、あたしは目を閉じる。
「……いいよな」
いつか、あたしもこいつらみたいに、家族と一緒にゲーセンに来たい。それで笑顔になって、この一時を過ごしたいんだ。それが今のあたしの夢だ。
叶うといいな……。
……あ。あたしがしたいこと、見つかったぞ。
あたしは一呼吸置いてドアを開けて、スタッフルームに戻った。
椅子に座って、資料を見ていたプーが視線をこちらに移動させた。
「早かったね。もう思い付いたの? それとも整理ができたって感じかな」
「はい。その両方です。私は家族を対象にした企画がしたい。そう思いました」
あたしは自分の胸に手を当てて、プーに伝えた。プーはうんうんと頷いて、
「ふーん……それで?」
とまた素っ気ない態度で、あたしの話を促した。




