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本気の花を咲かせて。  作者: 社容尊悟
1.深海の国の王様と不良なあたし

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深海の生物、誰も知らない国のモノ

「だが、深海八四〇〇m以降は生物がいないとか書いてあるぞ?」

「あのねえ……」

 何か言いたげにプーは眉をひそめた。そんなにあたしと話すのが疲れるのか。あたしは至って常識的なことを訊いたが、こいつにはどんな質問も面倒に感じるらしいな。

「生物だよ。ぼくは深海の生物。人間の形をしているけど、本来は深海色の生物なんだ。人間たちはぼくらの国には入れないから、ぼくらの国のことは知らない。当然、誰に話しても知らないわけだよね。あなたが知らないのも必然」

「そうか……それでどんな生物なんだ」

「それを訊くの?」

「なんだ。訊かれて困ることか?」

「いや……ぼくの姿はあまり口外しないつもりなんだけど。訊いても後悔しないのなら、教えてあげてもいいよ。後悔しないのならね」

「やらない後悔よりやる後悔派なんだ、あたしは。どんと来い」

 胸を叩いてあたしのたくましさを披露する。だが、プーはあまり気にかけなかった。

 あたしのことには興味ないのか? 嫌いなら仕方ないか。でも、好きと嫌いは紙一重ってよくいわれているだろう。だったら、こいつはあたしには無関心なのか? なんの興味も抱けないような人間なのか、あたしは。腹立つな。

「そう。なら紙とペンを用意して」

「そんなもん自分で用意できるだろうが」

 紙とペンならそこら一帯にいっぱい転がっている。自分で取って描けるだろう。人に頼むことでもないような気がするが。

「ん」

 プーは手を差し出す。あたしに有無を言わせないつもりだ。人をなんとも思わず使おうとするところとか、やっぱり王様だな。こいつ絶対、人使い荒い奴だ。

「ったく、仕方のない奴だな。ほら、描け」

 あたしは紙とペンを取って、プーに渡した。プーはそれを受け取って、でかい机の上で絵を描く。色ペンまで使ってお絵描きの時間だそうだ。お子ちゃまだな。

「こ、こんな感じ……」

 完成させると、プーは目を伏せて紙を突き出した。強引に渡された紙を見る。

 青と緑と紫のような色が混ざった髪色と瞳。まさしく深海のような色合いをしている。

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