第九話 グレイテールの悲劇
「う~、頭痛い」
アリアがうめいている。
「昨日あんなに飲むからです」
昨日の祝勝会が終わった翌日“俺”以外絶賛二日酔い中。
「俺、一生の不覚……欝だ、死のう」
アキラが縄を首にかけようとする。
「待てアキラ早まるな!!」
「うへ~。水~」
みんなグロッキーである。
「どうします?、出発、やめますか?」
「いや、いいちゃんと行くよ」
そんなわけで皆さんグロッキーなままラミザブルを出た。
三時間後、みんな歩くうちに酔いもさめてきたようだ。
「そろそろ。グレイテールが見えるはずだけど。おかしいわ」
「なにがだ?」
「グレイテールの村には大きな風車があるのだからここからなら見えるはずなんだけど……まさか!!」
アリアが駆け出した。俺たちも追う。
「おい、どうしたんだよ!!」
「説明してる暇はないわ!」
だが、熟練度が違いすぎて追いつけない。
小高い丘を越えて見えたのは焼き払われた村だった。
「な…んだ」
「闇ギルドめ!!」
アリアは村まで走っていった。俺たちも走る。
「はあ、はあ、はあ」
村は丘でみたよりも酷い状況だった。
「酷いな」
「ああ」
「いったい、誰が」
アリアは村の中心であった広場にいた。
「アリア、いったいどうなってるんだこれは」
「闇ギルドの仕業よ」
「闇ギルド?」
「犯罪者集団、あいつらはどんな酷いこともするわ」
「あんた達、旅の人かい」
物陰から初老の老人が出てきた。
「えぇ、そうです。あなたは村長さんですよね」
アリアが言った。
「ええ、もう、元村長ですけど」
「闇ギルドですか?」
「はい、たぶん。奴らの腕に蛇が巻きついた馬の紋章をつけていましたから」
アリアが一瞬考える。
「なるほど、確かに闇ギルドです」
「やはり、お願いがありす、あなた方に依頼したいのです。闇ギルドの討伐を。お願い出来ますか」
『お願いします!』
物陰からぞろぞろとたくさんの人達が出てきた。
アリアが俺達の方を向いて言った。
「私はこの依頼を受けようと思うの。あなた達は自由にしていいわ。はっきり言って、闇ギルドは今までの相手とは格が違う、死ぬかもしれないわ」
俺は一瞬考えた後言った。
「「「俺(私)も依頼をうける」」」
俺、アキラ、ミリアの声が綺麗にハモった。
「いいの?」
アリアが確認のために聞いてくる。
「ああ、俺はこの状況で黙っていられるほど冷たくはない」
俺は言った。
「俺もこんな光景を見たら何もせずにはいられない」
アキラが言った。
「私も黙ってなんていられません」
ミリアも言った。
アリアが頷いた。
「わかったわ。村長さんその依頼、受けます」
「ありがとうございます。闇ギルドはここから北東にあるニヤリア山を根城にしているようなのです。御武運を祈っています」
俺達はニヤリア山へと急いだ。
「なあ、俺たちが倒す、闇ギルドってどんな奴らなんだ?」
「闇ギルド、蛇喰らう馬。奴らは闇ギルドの中でもランクはそう高い方じゃないわ」
アリアが言った。
「そうなのか?」
「ええ、ランクはね。でも、あそこは闇ギルドの中でもトップに入る凶悪さよ」
「でも、それならランクは高いんじゃないのか?」
「闇ギルドにも流儀があるらしくてね、あそこはそれを破ってるの。だからランクは低い」
「……ゴクリ」
思わず唾を飲みこんだ。盗賊とは戦ったことはあるが、たぶんそれとは比べ物にならないだろう。
「そういえば、闇ギルドの人を殺したらどうなるんです?」
ミリアが聞いた。盗賊の時は確かコテンパンにして街に人に引き渡したが、闇ギルドの場合それは無理な気がする。
「それはね。実際に見ればわかるんだけど。犯罪行為をしたプレイヤーはマップ上に黒いマーカーで表示されるの、で、私たちがそのプレイヤーを倒すとその犯罪者プレイヤーは《黒絶獄》に送られる。《黒絶獄》って言うのは監獄のことよ」
そんなこんなしているうちにニヤリア山の入り口についた。
「おかしいわね」
アリアが山の入り口を見て言った。
「どうかしたか?」
「ついさっきここを通った人達がいるわ」
「蛇喰らう馬のやつらじゃないのか?」
アキラがもっともな事を言う。
「いや。これは闇ギルドなんかじゃないわね」
「わかるのか?」
「そうね、さっきから根城に私達が来たっていうのに誰も出てこないってこと」
その時アリアが赤い布を見つけた。
「これは」
「それがどうかしたのか?」
俺はアリアから赤い布を受け取って言った。
「なんであいつらがこんなところに?」
「アリア?」
「ごめん、たぶん私たちは必要なさそうね、とりあえず行きましょう」
アリアが山の中に入っていった。
「おい、なんなんだよ!」
俺たちもすぐにアリアを追った。
山の中も静かで誰も襲ってこなかった。ただ所々戦闘のあとがあった。
「おい、アリア」
「いいから、ついて来て、目的地に着いたら話すわ」
アリアに何回も聞くがまったく何も話してくれなかった。
そして、蛇喰らう馬のアジトと思われる建物の前に来た。中からは微かに戦闘の音が聞こえる。
「これって」
「もうそろそろ終わるころね。ほら、急ぐわよ」
またも何も言わず建物にアリアは入って行った。
「なんだよ、これ」
蛇喰らう馬のアジトの奥で見たのは黒い巨大な鎌を持った残忍そうな男と赤い鎧を着た集団だった。周りにはまだ死んでいないが時間の問題のプレイヤーが何人も倒れていた。
「炎帝の剣」
アリアの声が静かな部屋に響いた。
カイトスキル 現在
片手剣スキル熟練度28
両手剣スキル熟練度27
短剣スキル熟練度15
武器防御スキル熟練度25
投擲スキル熟練度15
索敵スキル熟練度27
見切りスキル熟練度26
回復補助魔法スキル熟練度16
火魔法スキル熟練度24
体術スキル熟練度20
常時装備発動スキル
筋力スキル熟練度25
俊敏スキル熟練度28
跳躍スキル熟練度20
受身スキル熟練度27
体力スキル熟練度30
魔力スキル熟練度18
耐久スキル熟練度29
アキラスキル 現在
弓スキル熟練度17
短剣スキル熟練度15
投擲スキル熟練度17
武器防御スキル熟練度9
索敵スキル熟練度26
回復補助スキル熟練度18
風魔法スキル熟練度19
雷魔法スキル熟練度25
体術スキル熟練度15
調合スキル熟練度5
常時装備発動スキル
筋力スキル熟練度18
俊敏スキル熟練度30
跳躍スキル熟練度27
受身スキル熟練度18
体力スキル熟練度27
魔力スキル熟練度26
耐久スキル熟練度19
ミリアスキル 現在
火魔法スキル熟練度20
水魔法スキル熟練度18
風魔法スキル熟練度18
雷魔法スキル熟練度27
氷魔法スキル熟練度13
土魔法スキル熟練度11
無魔法スキル熟練度10
幻魔法スキル熟練度9
回復補助魔法スキル熟練度17
召還魔法スキル熟練度8
常時装備発動スキル
筋力スキル熟練度14
俊敏スキル熟練度20
跳躍スキル熟練度12
受身スキル熟練度10
体力スキル熟練度22
魔力スキル熟練度25
耐久スキル熟練度13