第十一話 旅は道連れ、世は無情
十分くらいして僕はようやくティアさんの谷間から抜け出した。正直、死ぬかと思った。別の意味で。苦しいとかの意味じゃなくて。
で、今度はケインがその犠牲になっている。一度やったらもういいのか、ケインは好き勝手やっている。具体的に言えば揉むとか、揉むとか、揉むとかだ。ティアさんはティアさんで、それを受け入れちゃっている。大物なのか、違うのかよくわからない。
そしてカノンはそんな騒ぎを起こしていてもおきていなかった。あんな騒がしい中で寝れるのはある種の才能だと思う。もう少し寝かせてあげたいのだが、これ以上寝ているとまったく進めない。
「おい、カノン起きてくれ」
「あと、五時間二十三分五秒」
「細かいな!!」
「むあ?」
あ、さっきの怒鳴りで起きた。結果オーライだな。よしよし、これで先に進めるな。
「…………おなかへった……」
「起きての第一声がそれかい!!」
思いっきり力抜けた。僕のやる気を返してくれ。というか、これカノンのための旅だろうに。その張本人がこんな感じでいいのか? 許されるのか? いや、許されるわけがない。そうだ、許されてなるものか。
だが、それを言ってもどうせカノンは聞かないだろう。言うだけ無駄だから言わない。
「はあ、とりあえず、そこにあるの食べていいよ」
「…………(こくり)」
カノンが作っておいて料理を食べ始めた。さて、この間にティアさんと話をつけないと。何度も聞くようだけど。
「さて、ティアさん、帰ってください」
「やだ」
「どうしてもですか?」
「そうよ~。だって~、こっちの方が面白そうじゃない。何度も言うけど」
面白そうなだけでついてきてもらっては困る。まあ、戦力的な問題でティアさんがいてくれたら心強いんだろうけど、この人を仲間にすることで生じる弊害により、プラスマイナスゼロ。むしろマイナスだ。主に酒代とか、酒代とか、酒代とか。
そうなれば、僕の夢が遠のく。どうやって、ティアさんを帰そう。ケインに言ってもダメだろうな。今だティアさんの谷間に埋もれて幸せそうにしてるから。クソが。カノンは…………まあ、ダメだろうな。この状況がわかってないし、最悪ティアさんの味方しそうだ。
つまり、状況は限りなく僕に不利ってことだ。カイトさんにでもメールしようか。そしたら一発で解決できそうなんだけど。よし、そうしよう。
メニューからメール画面を開く。
メール画面
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To カイト
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Sb ティアさん
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こちらにティアさんがいるのでどうしましょうか?
出来れば戻っていただきたいんですけど、ティアさんにその意志がないです。
どうしたらいいですか?
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よし、送信。
メールが送信された。
さて、あとは返答を待つだけだな。
「ティアさん、カイトさんにメールしましたから」
「あ~アルト君ずるい!!」
別にずるくないです。
メール画面
――――――――――――――
From カイト
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Sb Re
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ああ、こっちも戻ってもらおうかと持っていたんだが、状況が変わった。
どうも、こっちに居るモンスターは魔力の高い奴を狙って移動しているらしいから、ティアがいると逆に邪魔になることがわかった。まあ、俺たちも普通に魔力が高いんだが、ティアがダントツだからな。今も、モンスターはそっちに移動しているらしい。
だから、戦力としてそっちに居ても構わない。
どうしても困るなら、適当に追い帰せ。
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え、マジですか? 一瞬マジで目を疑ったよ。何度も見返す。だが、内容は変わらない。
「何々~へ~」
しまった! ティアさんにメール見られたクソ。
「じゃあ、私居てもいいわね」
「…………は、はい」
断れません。無理。無理です。僕には出来ない。こら、ヘタレとかいうな。え? 美人だから最初から、仲間にするだって? いや、そんな基準で決めてないから。ああ、もうわかったよヘタレですよ。これでいいかよ。
「よっし、じゃあ、さっそく出発しましょう」
「勝手に進めるんですね」
まあ、そんなわけでティアさんをパーティに加え目的地へ向けて出発。
はい、どうもテイクです。
来週から一週間ほど、用事で出掛けるので執筆が一切出来ないため、二週間ほど更新できなくなります。
ので来週と再来週の更新はお休みしたいと思います。