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グローリアオンライン  作者: テイク
番外編 アルトの冒険
63/70

第九話 本気のストーカーって案外見つかりやすい

「…………名前はカミにする」


 歩いているとカノンが言った。たぶんあの子供狼の名前だろう。しかし……。


「それは、なんかダメと思う。狼にはちょっと荷が重いと思う」

「…………なぜ?」


 なぜって、そりゃ。それじゃ、神だよ。確かに狼の神様はいるけどさ。今はまだ、子供だ。いずれは大きくなるにしても、それはないと思うのですよ。


「壮大すぎるよ。これから、飼うのならもう少し、親近感が湧きそうなのがいいんじゃないかな?」

「…………そう」


 カノンはうつむいて考える。頭の中では一体どんな名前が挙がっているのだろうか。


「しっかし、あれだよな~。まさか、モンスターが人になつくなんてな」


 ケインが言った。


「確かにそうだな。モンスターを倒して仲間にしたって話はあるけど、こういう事例はないんじゃないか」


 掲示板を調べてみるが、やはり僕達のような事例はなかった。掲示板で言ってみたら、珍しいとか何とか言われたな。まあ、いいか。こういう、人の仲間になったモンスターはかなり役に立つ。主人には忠実で、戦闘では一緒に戦ってサポートしてくれたりする。今は子供だが、成長すれば頼もしくなるだろう。


「ないな。検索してみたけど。こんな感じだ」

「なるほどな」


 モニターをリンクさせ、ケインに見せる。ケインは上から下まで、ざっと見てモニターを閉じた。


「で、名前どうするんだ?」

「今、カノンが決めてるよ」

「さっきのもあるから、お前が考えたらどうだ?」


 それもそうなんだけど、嬉しそうにしてる(見た目は無表情でわかりにくい)カノンを見たことはない。まあ、短い付き合いだけど。だから、尊重してあげたい。


「ふ~ん、まあ、お前がそう思ってるなら、いいけど」

「まあ、いまは進みながら考えるのが一番だろ」

「だな」


 グレイ山脈まだ、まだまだ、遠いんだからな。

 一日目は結局野宿となった。まあ、キャンプ用具は持ってきてたから、安全に野宿できたから、良いけど。やはり、朝が弱いカノンは中々起きなかった。


「アルト、気づいてるか?」


 カノンを何とか起こそうとしていると、ケインが神妙な顔で言う。


「ああ」


 向こうにある茂みから誰かがこちらの様子を伺っている。


「あれって、あの人だよな」

「たぶんな」


 そっと、そちらの方を見る。何もないように見えるが、よく見ると、あの辺りだけ、風が吹いてもいないのに、木葉がはためいている。つまり、あそこだけ人為的に風が吹いているということ。風を利用して、光を屈折させて擬似光学迷彩をやっているのだろうが、よく見ればわかる。


「あの人だな」

「お前もそう思うか」


 というより、あんなことが出来てかつ、僕達についてきて利益があるのはあの人くらいしかいない。


「ああ、ティアさんだな」


 まったくあの人は何をやっているんだが。大方、ルイさんが言ったのだろう。それ以外に考えられる人は居ないし。あの人とケイン以外には何も言わずに出てきたからな。ケインはここにいるから除外できるし。もうルイさんしかいない。あの人、余計なことを。


「なあ、良い機会だ、脅かそうぜ」

「おいおい、僕たちじゃ無理だって」


 物凄いやってみたいけど。


「そういいつつ、本当はやりたいんだろ」

「まあな」

「よし、じゃあ、やろうぜ」


 僕達はあのティアさんに一泡吹かせるため、行動を開始した。


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