第六話 帰り後出発
シュレイディークに戻った僕達はルイさんの鍛冶屋に戻ってきた。
「いや~、やはり自分の家が一番だな」
ルイさんが鍛冶屋に戻った途端置いてあるソファーに倒れこむ。確かに僕もそう思う。そんなに戦闘をしたわけではないけど、何か精神的に疲れた。もう、この人と二人っきりでどこかには行かない。そう、今決めた。ケインを連れて行こう。喜ぶはずだ。うん、絶対。あいつ変態だし。
「さてと、では、作るとしよう」
「あ、お願いします」
「任せるといい、すぐにお前にピッタリのものを作ろう」
作業台に鉱石を置く。
「さてと、じゃあ、ちょっと待っているといいすぐに出来る」
「あ、はい、あ、見てもいいですか?」
「ん? 別に構わんが面白くないぞ」
「それでもいいですよ」
職人系のスキル、まったく上げてないからこういうにはちょっと興味がある。
「そうか、じゃあ、見ていろ」
ルイさんがウィンドウを開く。そして使う鉱石を選んでいく。
「これとこれだな、あとこれをこの割合でっと」
そして、数値を操作していく。僕には何がなんだかわからないが、これが鍛冶なのだろう。僕もなにかひとつは職人スキルあげようかな。でも、上げてる暇ってないんだよな。
「よし、これであとは待つだけだな」
「あれ、これで終わりですか?」
「ああ」
もっと何かあるのかと思ってた。鍛冶屋なんだから鉄を打ったりとかあるんじゃないかと思っていた。
「なんだ、その顔は……はは~ん」
あ、やばい、ルイさんの顔が面白い物を見つけたって顔してる。標的は明らかに僕だし。てか、もう悟ったよ。ルイさんからは逃げられないと。
「ふむ、君の期待した通りではなかったようだな。それは酷いことをしたな」
「いえ、別に構わないですよ」
「いやいや、そうはいかんだろう。だから、私がじきじきに……な」
この人やる気満々だよ。やっぱり。
「いえ、断固拒否す――んん!!?」
無理矢理唇を奪われました。
「ぷは~、ふふふふ、抵抗しても構わんよ。今回は何も薬物使ってないからね~」
抵抗したいのはやまやまなのだが、どうも抵抗できない。いや、期待してるとかじゃないから。体格差が問題なのだ。力任せに押しのけることは出来るがルイさんは小柄だ。子供と変わらない体型だし。これ思いっきりやったらたぶん吹っ飛ぶよね。怪我させるわけには行かないしどうしようもない。
そんな絶望的な状況にどうやら救いが来たようであった。扉の開いた音がする。
「ルイさん、お客さんみたいですよ!!」
「チッ、楽しみを邪魔してくれるとは。まあいい、どうせ、いつでも出来るからな」
ほっ、助かった。店に戻るとそこには見たことある顔があった。
「カノン?」
「…………」
店に来たのはあのカノンであった。僕に気づいているのかいないのかわからないが無視されている。
「なんだ? 君たち知り合いか?」
「まあ、そんなところですよ」
ニ、三回会っただけだけど。
「ふむ、で、何か用かね? まあ、鍛冶屋に用はひとつだけだな」
「…………注文していたはず」
「ん? 注文? あ~……アレか……確かにしてたな。しかし、忘れていた。というより材料がない」
「…………」
おいおい、鍛冶屋としてそれはどうなのか。
「といわけでこいつと取りに行ってくれ」
「はあ!?」
「(ふ、いいではないか。好きな女の子と二人っきりにしてやったんだぞ。感謝されてもいいと思うがね)」
何か考えてるんだこの人は。というか好きではありませんよ。ちょっと気になるだけで。
「それに本人の意思がいりますよ」
「…………私は別に構わない」
「といってるぞ」
ルイさんはどうやら僕をどうしてもカノンと一緒に行かせたいようである。
「お前が帰ってく頃には武器できてるからな。じゃ、行って来い」
帰った途端追い出される。これは起こってもいいよね。