第三話 恐怖はいたるところに転がっている
夏の暑さにやられて作者は自重と最後の良心をどこかに置き忘れてしまったもようです。
翌日、寝不足顔の僕がいた。セクシャルガードがあるとはいえ女の子と一緒の部屋である。緊張して寝れるわけがない。しかも、カノンは無防備に寝ているのだからもう色々気が気ではなかった。だから、朝日が窓から降り注いできたときにはかなり嬉しかった。
「うう、くそ~これなら別の宿さがしてたほうがよかった」
隣を見ると昨日のままカノンが寝ていた。
「さてとじゃあ、行こうかな」
ベッドから降りてとりあえず部屋を出ようとする。しかし、ドアが開かなかった。
「あれ?」
鍵がかかっているようだ。
「じゃあ、あければ…………」
鍵穴がこちらにもあった。そういえば宿屋の主人の趣味でどちら側にも鍵穴がありどちらも鍵で施錠ができるようになっていたんだった。説明しにくいな。とにかく中からも鍵を使わなければ部屋を出ることはできない。
「鍵はどこに……」
鍵はカノンが握っていた。さて、つまり僕はカノンが起きるまで外に出ることは出来ないということだ。
「まあ、すぐ起きるだろう」
その期待は裏切られることになる。
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五時間後。既に世の中では昼という時間である。なのに今だカノンは目を覚まさない。
「なんで、こいつ起きないんだよ。もう昼だし」
ケインにメールして事情を説明した途端何を勘違いしたのかカイトさんたちには言っておくぜと返信したっきりまったくメールがこない。僕からしても返ってこない。
「頼むから早く起きてくれ」
といっても何かが変わるはずもなくどの道僕には待つ以外の何も残されていなかった。
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それから一時間後。
「ん、う~ん」
ようやくカノンが目を覚ました。長かった。だが、ついに!
「う~」
カノンがまたベッドに倒れようとする。
「まてええええええええ!!!」
「むあ?」
カノンが焦点の合わない目で僕を見つめる。よし、何とか気づいてくれた。
「誰?」
「昨日相部屋になったアルトだよ!!」
「そう~」
今だカノンは寝ぼけているのかふらふらしている。頼むから完全におきてくれ。
「…………」
なにやらカノンが動きを停止した。
「あれ? お~い」
それから五分後ようやく動き出した。目の焦点があっているので完全に覚醒したのだろう。
「…………なんでまだいるの?」
「鍵がないから」
そこでカノンは自分が鍵を持っていたことに気がついた。
「…………はい」
鍵を投げ渡すカノン。まるで悪びれた様子はない。
「はあ~」
それでも女の子は怒れない僕は鍵を開けてさっさと宿屋を後にした。
「無駄に疲れた」
恐る恐るギルドハウスに行ったら。
「よう、どうだったアルト」
ケインに見つかってしまった。
「この幸せ者がさあ、どうだったんだよ」
物凄いドス黒いオーラを出してケインが言った。メールではあんなことを言っていたのに。
「お前が想像しているようなことはなにもない」
「おいおい、一晩女と一緒にいて何もしてないってのか?」
「お前も知ってるだろガードがあるの」
ガードの存在を思い出したのかオーラを消すケイン。
「そういやあそうか。じゃあ、なんでサボったんだよ」
「いや、それがさあ」
事情をケインに説明する。
「なるほどな~。って、つまりお前は女の寝顔を眺めていたわけだ。俺たちが一生懸命、命がけで働いているときにお前はそんなことをしていたわけだ」
またも墓穴を掘った。くそ、学習しろ僕。そんなんじゃ脳筋って言われるぞ。どっちかって言えば脳筋ンはケインのほうなんだから。
「お前、かなり失礼なこと思っただろ」
「い、いや、思ってない思ってない」
危ない危ない。勘だけは無駄にいいんだから。
「で、今度こそ」
「何も言ってないし何もしてないからな」
「チッ、この根性なしめ」
こいつは俺に何を望んでいるんだよ。
「その女の子の友達を紹介してもらうことだ」
「お前のそういうところは好きだよ俺……」
「お前、何かバカにしてるだろ」
してる。
「してるわけないだろ。大事な相棒なんだからな」
「……まあ、いいか。それよりあのなんだっけ鍛冶屋の姉ちゃんがあとでも店に来るようにってお前に伝えてくれってさ」
「ああ、ルイさんか。わかった今から行ってみるよ」
「そうしろ」
シュレイディークのはずれにある鍛冶屋へと向かう。ルイさんはカイトさんたちが懇意にしてる鍛冶屋だ。かなり良い武器を作ってもらえる。その代わり値段が高いけど。ちょうど依頼に行こうと思っていたところだったのだが予約が多いそうで今まで出来なかったのだがようやく依頼にいけるようだ。
「こんにちわ~」
店の中に入る。所狭しと乱雑に武器が並べられていた。
「おお、やっと来たか」
ルイさんが奥の部屋から顔を出す。昔とイメチェンしたのか髪がブロンドになり腰まで伸びている。瞳は翡翠色になっていた。服装もなにやら鍛冶屋にふさわしくないゴスロリっぽい服装になっている。その上から汚れないように羽織を羽織っている。なんというかだ。
「イメチェンしたんですか」
「ああ、あの格好では完全にロリキャラだったからな。そろそろ変えたかったからな。こっちに移る事になったときに変えたのだよ」
どの道子供にしか見えないとは言えない。
「さて、武器を作りに来たのだろう? とりあえず奥に来い」
「あ、はい」
そして奥に移動する。作業部屋だろう。更に奥の部屋から熱が立ち込めている。
「じゃあ、脱げ」
「は?」
その言葉の意味を理解するのに十秒かかった。
「は? ではない。服を脱げ。全部だ」
「そ、それって裸になれってことですか!?」
「そうだ」
「何のために!?」
そうだ、武器作成を依頼しに来ただけなのになんで脱がなければならないんだ。
「大切なことだぞ。私は君にあった武器を作りたいからなそのためのデータ集めだ」
楽しそうにルイさんが笑う。
「それなら脱ぐ必要ないでしょ!」
「より正確なデータのためだよ君。さあ、武器がほしいのだろ。脱ぎたまえ。さあ、さあ」
手をわきわきとしながらルイさんが迫ってくる。卑猥だ。てか、絶対この人楽しんでるよ。
「さあ、さあ、さあ!!」
「うわあああああ!!」
小さい体のどこにそんな力があるのか物凄い力で追い剥ぎされた。どんだけ筋力スキル鍛えてるんだよ。
「私は鍛冶屋だぞぉ。筋力はかなり鍛えられているんだよ。さあてではお楽しみの時間と行こうか」
「やっぱり楽しんでるんだな!!」
「当たり前だ。何の為に私が鍛冶屋になったと思っている」
絶対ロクなことのためじゃない。
「データを取るためと言ってセクハラをするためだなのだよ。ほら、これを打てば大丈夫だ」
やっぱりか!! しかも何かわけのわからない注射された。
「うぐっ!!」
体に痺れが走る。ステータス異常のマークが現れ麻痺になったことを伝える。
「では、データ採取を始めようか。ああ、一つ良いことを教えてあげよう。セックスだがなあれをするには通常当事者男女の同意が必要とされているが実はな女の方が許可するだけでいいのだよ」
今この人はなんと言った? 体が痺れているのに頭は良く回る。かなりとんでもないことを言っているのだが理性が理解するなと警告を発する。そしてその時思い出した。ルイさんには気をつけろとアリアさんが言っていたことを。
「つまりだな。私が許可さえすれば君の意志を無視してセックスが出来るわけだよ」
なんという事実だ。って言ってる場合じゃない! なんとかしなければ!!
「ふふふ、安心しろ。私のテクできっちり逝かせてあげよう」
「やめろおお――んんん!!?」
「んっんっん♪」
キスで口を塞がれた。更にルイさんの舌が侵入してくる。ぴちゃぴちゃと音が響く。僕は抵抗も出来ずされるがままだった。
「ふう」
ようやくルイさんの唇が離れた。
「はあ、はあ、はあ」
「ふふふ、なかなかにいいじゃないか君は。興奮してきただろう? 私も興奮して濡れてきたよ」
ルイさんが服を脱いでいく。僕は体を動かそうとしたがまったく動かない。
「ん? どうした? 服は着ていた方が良かったのか? 着衣プレイがお望みだったのか?」
首を横に振ろうとするが麻痺してるせいで振れなかった。
「そうかそうか。私はどんなプレイでもいけるからな。よし、君の好みに合わせてやろう」
服を着るルイさん。しかし、下着はつけず服の前ははだけている。
「さて、では」
やめろおおおおお!!
しかし、心の叫びは届かなかった。
はい、ということで皆さんたぶん忘れてたと思われる鍛冶屋のルイちゃん再登場です。
え? 初登場時とキャラが違う?
いいえ、違いますこちらが本性です。もう、書いてて楽しい楽し――げふんげふん。
ま、まあ、こんな感じで昔登場させたキャラとかが他にも出てくるかもしれません。
そしてルイはたぶんレギュラーになるかも。そして登場するたびあんなことになるかも知れません。
次回の更新は未定です。気長にお待ちください。