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グローリアオンライン  作者: テイク
第二章 ハザマの夢
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第二十一話 記録の街

「とりあえず、街に入るぞ」


 精神的ダメージは残っているがいつまでも外にいるのは危険だ。魔物が出てこないとも限らないし。


「でも、どこにも入り口ないよ」

「ユイちゃん、よく見てみて」

「え?」


 ユイが壁を良く見る。


「あ!」

「気がついた?」

「うん、あんなところにあるなんて」


 街への扉は城壁の上にあった。そこに上るための階段は透明に作られていて雪もあってまったく見えない。気がついていたのはアリアとリーナに人形師(マリオネッター)くらいだろうな。俺はさっきアリアにいわれて気がついた。


「さて、いくぞ」

「ヒヒヒ」


 いきなり人形師(マリオネッター)が笑った。


「おい、なんだよ人形師(マリオネッター)

「ヒヒ、中で何を見ても驚かないように覚悟しておいたほうがいいかもしれないね~」


 人形師(マリオネッター)が意味深に言った。


「お前なにか知っているのか?」

「ヒヒヒ、ワタシは何も知らないさ~。ただの勘だよ」

「…………まあいい、とりあえず行くぞ」


 透明な階段を上り街の中へと入った。そこで驚きが俺たちを包み込んだ。


 そこは混沌だった。そう形容するしかない場所。街とは言えない。街の形を成してるがそこに街としての機能は何もない。ただの混沌がそこの鎮座していた。いや、混沌と表現すら出来ないかもしれない。なぜなら、これを表現する言葉はないからだ。理解不能それがふさわしいのかもしれない。


「なんだよこれ…………」


 意味がわらからない。


「これが街?」


 アリアも驚いているようだ。こんな街などグローリアにアクセスしていらい見たことがない。


「す、すごいです」


 リーナも口を開けて驚いている。


「冗談でしょ?」


 ユイは目の前の光景が信じられないようだ。


「信じらんないわね」


 ティアは冷静そうだがかなり驚いているようだ。


「ありえません。あえません」


 コペイも信じられないというか信じたくないような感じだ。


「釣りだ」


 トミーは相変わらず釣りのことしか考えていないようだ。


「これは一体? しかし、これはありえるのでしょうか?」


 サクヤはこの状態を考えている。


「ヒヒヒ、ワタシ好みの混沌だね~。ああ、しかし、ここが街とは到底思えないね~」


 人形師(マリオネッター)はどこか嬉しそうだ。


「街~」


 ユウはたぶん何も理解してない。子供だからこそこれが異常だと感じれないのかもしれない。


「カイト君どうする?」

「どうしようも、とりあえず進んでみるしかないだろ」


 こんな場所にはあまり行きたくなんてないがしかたない。レギルの言葉の真偽もここなら何かわかるかもしれないし。ここは明らかにグローリアの世界とは何かが一線を画している。


「この中を~」


 ユイが露骨に嫌そうに言う。確かにこのピカソの絵のような空間には行きたくはない。


「仕方ないだろう行くぞ」


 混沌の空間を進む。どこかまでも続くかのように錯覚する混沌の空間を進む。進んでいるのかもわからない。


「うひゃ!!」

「どうしたユイ?」

「な、なんか浮いてる!!」


 ユイが指差しているものを見る。それは丸い球体だった。中には何かが写っている。


「ヒヒヒ、これは記録だね~。このグローリアの全ての記録だ~」

「じゃあ、やっぱり」

「ヒヒ、ここは記録の街であっている。ありとあらゆる知識を集めた街。だ、ほら、あそこには武器も浮いてるヒヒ、お宝ばかりだ」


 持とうとしてもそれには触れることが出来なかった。


「ヒヒ、当たり前さ。それらはあくまで記録なんだから」


 なるほどここにあるものは記録だから実体はない。


「辞典みたいなもんか」

「まあ、そうだね、そのほうが近いね」


 それより、なんで人形師(マリオネッター)はそんなことを知ってるんだ。まあ、聞いても無駄か。


「まあ、もうすぐわかるよ」


 街の中心と思わしき場所に来た。


「お母さん!!」

「え?」


 ユウが急に走っていった。


「ユウ!!」


 全員でそれを追う。幸い子供だ見失うことはない。ユウが立ち止まっている。そしてそこには女性が立っていた。ウェーブのかかった腰まである黒髪に半分ほど閉じられたまぶたから覗く緑がかった瞳の白衣をだらしなく着くずした美人の女性がそこにはいた。なんというか残念美人といった感じ。


「あ~はじめまして~」


 女性はゆるい声でそう言った。


「は、はじめまして」


 どこかズレていると思う。


「あのあなたは?」

「私? 私は狭間由宇(はざまゆう)


 全員に衝撃が走る。


「あなたは百年前の人ですよね」

「うん、そう~」

「本物ですか? プログラムとかじゃなくて」

「ん~、それを説明するのは難しい。でも、この子がお世話になったから話すよ。全部」


 そう言って狭間由宇はどこからか椅子を取り出して座る。俺達の横にも同じように椅子が出現した。狭間由宇は座るように促した。全員おずおずと座った。


「じゃあ、何から話そうかな。そうだね。じゃあ、私のことから話そうか~。私は狭間由宇。このグローリアオンラインの開発主任兼AI開発主任兼統括管理者。私の好きな人曰く機械のお姫様」


 そこでいったん区切る狭間由宇。そして言った。


「そして、神作り(ゴッドメーカー)計画の発案者」


 その言葉は一際この空間に響き渡った。


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