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グローリアオンライン  作者: テイク
第一章 魔王討伐編
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第五話 買い物

 俺たちはアルベールに戻っていた。


「じゃあ、クエスト完了の報告に行くわよ」


 歩きながらアリアが言った。というかなんか周りの視線が集まっているような気がするのは気のせいだろうか。


「どこに?」

「クエストギルドよ。ほら、あそこ」


 アリアが指さした方向には石造りの一際大きな建物があった。


「へ~、大きいな」

「当たり前、この街で一番大きいわよ」


 クエストギルドの中に入る。珍しくてきょろきょろ見ていたらアリアはさっさと受付の所に行ってしまったので、慌てて俺もあとを追う。


「ラノックス討伐依頼を受けたアリアですけど」


 受付のNPC(ノンプレイヤーキャラクター)にアリアが言った。


「はい、依頼達成の証拠を提示してください」


 アリアが後ろを向いて俺に言った。


「あのラノックスの角出してくれる?」

「ああ」


 メニューを開き角を出す。それをアリアに渡す。アリアは受付にそれを見せていた。


「はい、結構です、それはしまっても構いません」

「はい」


 アリアが俺に角を返した。とりあえずしまう。


「では報酬をお支払いします」

「あ、報酬なら彼にあげて、彼がラノックスを倒したから」


 アリアが俺を指差す。


「わかりました。しかし、彼はクエストギルドに登録しておられないので登録していただきます」

「はい、じゃあ、カイト」

「う、うん」

「ではここにお名前を」


 名簿に名前を書く。


「はい、これで完了です」

「へ!?、これでいいの?」

「はい、アリア様からの推薦もありますから」


 アリアを見るとちょっと照れた風に目をそむけた。


「はい、では、どうぞ」


 報酬を受け取る。なんと一万ゼル。ゼルとはこのグローリアの通貨だ。


「いいのか?」

「いいのよ、倒したのカイト君だし」

「それじゃあ、遠慮なく」


 一万ゼルをしまう。とりあえずこのゼルは武具を買うのに使おう。


「じゃあ、いろいろ揃えにいこうか、まずは防具屋からね」


 賑わっている市の真ん中にある防具屋に向かった。


「らっしゃい!!」


 がたいのいい店長がかなりでかい声で言った。


「あの、防具を買いたいんだけど」

「おう、その辺を見とけ」

「こんにちは、ハボックさん」

「おお、アリアちゃんか、いらっしゃい!!、また、あたらしいの買ってってくれよ」

「また今度ね」


 なんか、アリアはここの常連みたいだな。っととりあえず、いいの探してみるか。

 

 店内を見ていると端の方に上下黒の服にグローブ、黒革のコートの装備一式があった。


「あの、これいくらですか?」

「ああ、それか、いいもんだからな、全部で七千ゼルってとこだ」

「ちょっと、あれ、売れ残りじゃない、それで七千ってぼったくりもいいとこじゃない。あと、彼、私の連れだから」

「なに~!!、仕方ねえ、それなら、三千ゼルでいい、もってけ泥棒!!」


 てなわけで、三千ゼルで一式揃ってしまった。更衣室があったのでそこで着替える。


 グローリアオンラインでは装備を変える方法は二つ。メニューで変えるか、普通に着替えるかだ。今回は普通に着替えることにする。


「着替え終わった?」

「ああ、今でる」


 更衣室から出て行く。


「ほお、似合ってんじゃねえか、兄ちゃん。馬子にも衣装だな」

「誰がだよ!!」

「じゃあ、次は武器ね」

「まいど~」


 防具屋の隣の武器屋に行く。どうやらここもアリアは常連らしい。そこで俺は長さ1.4m、重さ3kgほど、刃の狭いバスタードソードを買った。ここでもアリアの値引きで安くなった。残り金額、六千ゼル。


 俺はバスタードソードを背負いながら言った。


「アリアは買わなくてよかったのか?」

「うん、ちゃんと頼んであるから。受け取りに行くのよ」

「取りに?」

「ええ、行くわよ。今日のうちに準備だけでも済ませないと」


 アリアの案内でアルベールの東の端に来た。その一角にある家にアリアが入っていった。看板があり、ルイの鍛冶屋と書いてあった。


「なにしてんの早くきなさい」

「おう」


 中は割りときれいな店だった。


「ルイ!、いないのー!」


 アリアが店の奥に声をかける。


「うい~」


 奥から小柄で短いピンクの髪に緑のバンダナ、作業服を着た少女が出てきた。


「おお、アリア、生きてたか。よかった」

「当たり前よ、で、出来てるの?」

「ああ、完璧、これだ」


 少女が一本の鞘に納まった剣を取り出した。アリアが受け取り抜く。


 全長90cm、細く薄い刃を持った普通のロングソードのようだが。アリアが持ったロングソードは純白だった。過度の装飾もなく、最低限の装飾だけだったが純粋に美しいと思った。


「うん、注文どうりね」

「だろう、料金は前金でもらってるから、そのまま持っていっていいよ」

「で、銘は?」

「アルビオンだ」

「アルビオン、うん、悪くないわ」


 アリアが剣を鞘に戻し腰にさす。


「で、そいつは誰?、まさか、アリアの?」

「ち、ちがうわよ。コンビを組むことになった。カイト君」

「どうも」

「うん、私はルイ。見ての通り鍛冶師だよ。武器を作りたくなったらいつでも来ていいからね。ただお金はもらうけど」


 どうやらいい人どうだ。ちゃっかりしてそうだけど。


「じゃあ。また、来るわ」

「ああ、また」

「じゃあ」


 俺たちは店を出た。


「さて、じゃあ、私は帰るわ。明日ゲートの前に七時に集合ね」

「わかった」

「じゃあね」


 アリアはどこかに走り去っていった。


「さてと。とりあえず、街を見て回って飯でも食って宿屋でも探すか」


 俺は街を見て回って手近な酒場で飯を食って宿屋で眠った。


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