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グローリアオンライン  作者: テイク
第二章 ハザマの夢
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第十九話 合流

 リーナたちを見ている影が二つ。二人ともマントとフードで完全に顔を隠している。男なのか女なのかもわからない。


「…………」

「…………」


 二人は黙って一行を見つめていた。


「いいの? 出て行かなくて?」


 不意に片方が聞いた。声からして女だ。


「今出て行ってもな。それに少し調べることがある」


 片方が答える。こちらは男の声だ。


「そうね。気になることが出てきたし」

「そうだ。このグローリアが終わる可能性がある」

「…………」


 二人は考えてくないと沈黙する。


「行きましょう。時間がないわ」

「そうだな」


 二人はマントを翻し雪景色の中に消えた…………。


****


 私たちは吹雪にあっていた。魔法使いの小屋を出たあとすぐに吹雪いた。


「魔法使いのうそつき!! 何が今がチャンスよ!!」

「ヒヒ、そういうものでもないさ」


 人形師(マリオネッター)が言う。背負った棺の中にはユウが言う。少しうらやましい。こっちは凍えるほど寒いって言うのに。


「何がよ!」

「本当ならこの吹雪と自然の吹雪にあって普通に前に進めなくなってるよ」

「自然? つまりこれは人口の吹雪ってことですか?」


 リーナが言った。まさか、これも罠!?


「ヒヒ、正解だよ。そっちのお姫様は気づいてると思ったんだけどね」


 人形師(マリオネッター)がティアに言う。


「悪いわね。そういうのは得意じゃないのよ。気分も悪いし」

「ヒヒッ、そうだったね~。まあ、これは単純な侵入者除けだろうね。ワタシも同じものを見たことがある」


 いったいコイツはどんな人生を送ってきたのだろうか。物凄い気になる。


「それじゃ、教えてあげようか?」

「なに人の心を読んでんのよ!!」

「なに、簡単なことさワタシくらい生きればね」

「長生きしてもアンタみたいにはなりたくないわ」

「ヒヒ、それは残念」


 まったく残念そうじゃないわよ。


「見えました!!」


 コペイが叫んで知らせる。目の前に白い巨大な城壁が現れた。それと同時に吹雪も収まった。見ると本当に吹雪が街を取り囲んでいる。


「ついたな。さて、入り口はどこだ?」


 トミーが入り口を探す。


「見当たらないわね」

「ヒヒ、またお客さんだね~」


 人形師(マリオネッター)がそういった瞬間巨大な白いゴーレムが壁から出てきた。ゴーレムの上に名前が表示されるホワイトゴーレム。何のひねりのないそのままの名前だ。


「次から次へと」

「ヒヒ、不味いね~」

「誰か疫病神がいるんじゃないの?」

「ヒヒ、そうかもしれないね~」

「アンタが一番怪しいのよ」


 死神みたいな格好だし棺持ってるし。


「こんな純粋なワタシになんてことを言うのかな君はヒヒ」

「アンタが純粋なら世界中の人間はもっと純粋よ」

「そんなこと言ってる場合じゃないです!!」


 コペイが言う。その間にまた一体また一体とホワイトゴーレムが出てきている。


「コイツ硬いぞ!!」


 トミーがニ槍で突きながら言う。だが、その突きに効果はなく離れようとしたトミーをホワイトゴーレムの拳が捉える。


「ガッ!!」

「トミー!!」


 トミーが吹き飛ばされる。


「魔法も効きにくいわ!!」


 ティアが魔法を放ちながら言う。だが、背後からホワイトゴーレムが迫る。


「ガッ!!」

「ティア!!」


 ティアが蹴り飛ばされた。そのまま雪の上をバウンドする。


「ティアさん!!」

「駄目リーナ!!」

「ガッ!!」


 ティアに意識を向けたリーナが吹き飛んだ。そのまま街の壁に激突する。


「ヒヒ~まずいね~」


 人形師(マリオネッター)は逃げ回っていた。棺の中にはユウがいるんだ。あいつにはあのまま逃げ回ってもらっておこう。


「セイッ!!」


 居合いで攻撃するサクヤ。渾身の一撃だったのかホワイトゴーレムの腕が切断される。


「よし!!」


 サクヤがそう言った瞬間横合いになぎ払われた腕に吹き飛ばされた。


「ガッ!!」

「サクヤ!!」


 そのまま自身が切り落としたホワイトゴーレムの腕にぶつかる。コペイにゴーレムの拳が迫っていた。


「コペイ避けて!!」

「グッ!!」


 コペイがホワイトゴーレムの拳を受け止める。だけどそれも一瞬。コペイの体が宙を舞った。


「コペイ!!」


 コペイに意識を向けた。それが失敗。リーナの時と同じ。それを悟ったときには背後にホワイトゴーレムが迫りその巨大な私に拳を振り下ろしていた。全てがスローに感じた。避けられない、それがわかった。おそらくこの拳は私の防具なんて関係なく私を押しつぶすだろう。痛いだろうな。


「カイト…………」


 無意識に呟いていた。初期の頃なんて何回も死んだ。それで私はここまで来た。カイトたちに出会ってからはまったく死んだことはなかった。それだから忘れてた。死ぬのは怖かった。せめてカイトがそばにいてくれたらと思ってしまった。だから――。


「あいよ」

「え…………」


 だから、声が聞こえたとき私は耳を疑った。それと同時に感覚が通常の速度を取り戻す。声のした方を見るとマントに身を包んだカイトが魔剣でホワイトゴーレムの拳を受け止めていた。


「悪い、遅くなった」


 何よ。まったく悪いなんて思ってもないくせに。それなのになんで、何でこんなときに出て来るのよ。カッコいいじゃない、もう。思いがあふれ出した。


「カイト……カイト、カイトカイト!!」

「わかってるよ。さて、ちょっと待ってろ」


 ザンッ!!


 カイトが魔剣を一閃した。ホワイトゴーレムが真っ二つに切断される。


「ふう、あっちも終わったみたいだな」

「あっち?」


 カイトの見ている方を見ると残り全てのホワイトゴーレムが崩れていっていた。細剣をもったマントの人。顔はフードで見えない。が全てを倒していた。圧倒していた。


「ふう、ちょっとカイト君、あなた無茶しすぎ」

「え、その声」

「ふふ、久しぶりねユイちゃん」


 その人がフードを取った。ゴムで上向きに止めている栗色の髪、白い騎士風の服。腰に差した白い細剣。


「アリアさん…………」


 フードを取ったその下の顔は十二騎士の一人旋風のアリアその人だった。


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