第十四話 黒き竜王
巨大な竜が口をあけたような洞窟の入り口を見る。中からはかすかにうなり声が漏れている。
「さあて、行くとしますか」
魔剣を抜き洞窟の中へと足を踏み入れる。
漆黒が俺を迎えた。
「ライト」
魔法を放つ。光が洞窟を照らした。一本道がおくまで続いていた。まさに竜の食道のようだった。
「さて、となら竜の胃へと行ってみますか」
奥へと入っていく。しばらく進んでいるとどこからか明かりが入ってきていた。魔法をとく。風も入ってきていた。どうやらどこかに地上に通じる穴があるようだ。光の方へ進むと天井のない空が広がる開けた場所にでた。
その中央に竜はいた。黒く巨大な竜が。それはまさに王と呼べるほどの風格をもっていた。その竜が俺に気がついた。
『GAAAAAAAA!!!!』
咆哮を上げる竜。凄まじい圧力が俺にかかる。
「っ!! さすがだなこりゃ」
気合いを入れなおし魔剣を構える。
「行くぞ!」
魔剣から闇が吹き出す。その闇を四つにわけ竜の両手足へ向かわせ拘束する。
「どうだ!」
だが、それで拘束出来るほど甘くはない。咆哮と供にそれは引きちぎられた。そして目前には竜の尾が迫っていた。
「速い!?」
避ける間もなく鞭のようにしなやかな尾は俺を壁へと叩きつける。
「がはっ!!」
肺の中の酸素が一気に抜ける。
「くっ!」
あの巨体なのにかなりすばやい。竜を見ると既に次の行動に移っていた。首をもたげ竜の腹が膨れている。
「やばい!」
急いでその場を離れる。動いた瞬間に竜が炎を吐く。その炎は一瞬前まで俺がいた場所を灼熱の地獄に変えた。岩は簡単に溶けていった。
「危ない」
もう少し遅れていたらお陀仏だった。
「本気で行くぜ」
竜が炎を連続で放つ。それは火球となり俺に迫る。それを壁際で走りながら避け竜に近づいていく。
「てええりゃあああああああ!!!」
魔剣から放出される闇の刃で竜を斬り付けるが竜の体に触れたとたんに闇は砕け散った。
「斬撃が効いてないとかそんなんじゃないな。恐ろしく硬い」
不公平だな。こっちはこの竜を殺せないが竜は俺を殺せる。不利だ。
「なら!!」
魔法を放つ。
ドンッ!!
超重力で竜を地面へと縫い付ける。だが――。
「おいおい、嘘だろ!」
――竜は魔法など超重力などないように立ち上がる。魔法を解いたわけではない。その証拠に竜の動きは先ほどと比べると遅い。だが、完全に動きは止まっていない。
「なんて力だ」
いいね。ますますほしくなった。
「さあ、行くぞ!」
魔剣の闇でもう一本の剣を作りだす。双剣、二刀流。本気で行くぞ。
「はあああああああ!!!」
剣を構え走る。
ブンッ!!
竜が尾を振るう。それを跳んで避け尾に飛び乗り駆け上がる。
「でりゃあああああ!!」
駆け上がりながら斬りつけていく。竜が体を震わす。それと同時に飛び降りる。そして即竜へと疾駆する。
竜が腕を爪を振るう。それを剣をクロスさせて受け流し前へ。目前の竜の頭が迫る。それをバックステップで避ける。と同時に剣をクロスさせる。クロスさせた剣が竜の尾を受け止める。
「くお!!」
一瞬でも気を抜けば死ぬ。
「ん?」
今まで気がつかなかったが竜の角の後ろには剣が刺さっていた。黒く表面に赤いひびのような血管のようなものがはっている。見るからに禍々しい。魔剣だな。
「つくづく縁があるな」
その時――。
パリィン!!
闇で作った方の剣が砕け散った。
「しまっ!!――ぐあッ!!」
俺はまた壁に叩きつけられた。
「ぐう、おいおい闇で作った剣だぞ」
魔剣に及ばないながらもかなりの強度だったんだぞ。普通では絶対に砕けない。つまりありえないことだ。
バサァ!!
竜が翼を広げた。
「空に逃げる気か!」
そうなれば打つ手はない。
「行かせるか!!」
竜へと走る飛び乗る。それと同時に竜は空へと舞い上がった。
****
ユウちゃんの相手をしていると、竜の谷の奥から黒い巨大な竜が空へと現れた。
「あれは!?」
魔竜だ。しかしなんで。
「まさかカイト!!」
あのバカ忠告も聞かないで洞窟にいったな。
「あのバカ! ユウちゃんはここにいてくれ。そこの人形師、あとは頼んだぞ」
「ヒッヒッヒ~ごゆっくり~」
人形師とユウちゃんを残していくのは抵抗があるがこの際仕方ない。
「来い!! フィア!!」
相棒の火竜フィアを呼び飛び乗り空へと舞い上がった。
****
「うおおおおお!!!」
風圧がすごい。
「だが!!」
ここで落ちるわけにはいかない。
「うあああああ!!」
魔剣を突き刺す。そのまま竜の頭の魔剣のところまで移動する。魔剣を掴んだ。
「俺に従ってもらうぞ魔竜!!! でりゃああああ!!!」
魔剣を引く。魔剣は思うよりもすっと抜けた。それと同時に竜がおとなしくなり魔剣の銘が表示される。魔剣ディアボロス。持つものを狂気に走らせる魔剣。
「なるほど暴れていたのはこれが理由か」
しかし、これもイベントか? こいつを仲間にしに来たらおまけでこの魔剣もついてくるってわけか。
「こういうの多いな俺」
他のところでしわ寄せが来そうで怖いな。
「さてと、降りてくれるか?」
竜に言う。竜は素直に降りてくれた。地面に飛び降りる。
「ふう~」
疲れたな。するとウィンドウが開く。
『名前をつけてください』
条件は満たしたようだな。
「さて、名前か何がいいかな」
カッコいい名前がいいな。
「カイトー!!!」
シュリが竜に乗ってやってきた。
「どうしたんだそんなに慌てて」
「まったく貴様という奴は!!」
飛び降りてきて胸倉をつかまれる。
「自分が何をしているのかわかっているのか!!」
「ちょっちょっと待ってくれ!!」
「待たん!! 貴様アレほど洞窟には近づくなと、入るなといっただろうが!!」
「いや、ほら、結果的には無事だったわけだし」
「無事だったからよかったんだ! 一歩間違えれば死んでいたんだぞ!」
「悪かったよ」
「まったく。まあいい、それで名前をどうするんだ?」
「そうだな…………ラスヴェート、お前はラスヴェートだ」
魔竜改めラスヴェートが仲間になった。
またやってしまった。魔剣だしちゃったよ。こんなに出していいのだろうかと思いつつも。いや、そんなに魔剣は出してないけど。カイト君の前に出しちゃったよ。
カイト君を優遇しすぎな気がするな。でも、一応主人公だしいいよね。うん。今度この二章が終わったら番外編で一章エピローグで出てきたアルト君の冒険を書こうかと思います。
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