第十一話 組み手
城の訓練施設は城の中庭だった。かなり広い。それに多くの人間が居た。全員がドラゴニクスだ。こんなところに来た人間に珍しいのかかなり注目されているのがわかる。訓練所ではPKする心配はないらしいから本気でやれるな。もちろん魔剣の力は使わない。この世界で学んだ剣技だけで勝負する。
「準備はいいか?」
シュリが槍を構えながら言う。腰に剣をさしているが抜いてはいない。
「ああ、いつでもいい」
背から魔剣を抜く。ピリピリとした緊張感が生まれる。まさしく戦場だ。気を入れる。
「すううぅぅぅ」
息を吸い込む。どちらも戦う準備は出来ている。まわりの音は既に俺たちの耳には入っていなかった。
風が吹き抜ける。木の葉が舞いゆっくりと地面へと落ちていく。
木の葉が地面に落ちた。
その瞬間、俺たちは同時に動いた。
「はあああああ!!!」
シュリが槍で俺を突く。それを剣で弾き。そのままシュリの元へと走る。
シュリの手より繰り出される高速の刺突。それを剣で防ぐ。自身に当たる刺突のみ剣で弾きながら接近する。最小限の動きで最大の効果を!!
「てりゃあああああああ!!!」
繰り出される刺突を避け懐に入る。剣を振るう。狙いは首。急所だ。決まれば一撃で決着がつく。
だが、シュリはそれをかわし槍を放つ。それを弾き、また距離をとる。リーチの差でこちらが不利だが。そんなことは関係ない。
「やるな」
「カイトもな。さすがだ」
今度は俺がシュリに疾駆する。スキルに物言わせた加速。熟練の武士でもかわせない自信のあるスピード。これを超えられるのはアリアくらいだろう。槍をかわし懐に入り切り上げる。
だが、シュリはその斬撃に向かってきた。あたる直前で体をひねり斬撃をかわす。そして、体のひねりを利用し槍を振るう。
俺は斬り上げた姿勢から体を回し剣で槍を受ける。
ドンッ!!
槍と剣がぶつかり風が巻き起こる。
吹き飛ぶ。
「っ!」
間合いがあく。
「フッ、楽しくなってきたな」
剣を構えなおしシュリに疾駆する。
シュリもまた槍を構え待ち構える。
「てりゃあああああ!!」
刺突、空気を貫くような槍が迫る。それを切り上げる。そのまま踏み込む。シュリが槍を構えなおす前に懐に入る。槍は長い分近距離では扱いにくい。
「もらった!!」
剣を振るう。
「まだだ!!」
眼前に迫るはロングソード。シュリが腰につっていたものだ。
「クッ」
咄嗟に首をひねってかわす。だが、無理な体勢でかわしたことで完璧には避けきれずかする。バックステップでいったん距離をとる。シュリは槍と剣を持っていた。
「なるほど」
「この世界でしか出来ないがな」
「やるな」
「お前もな正直あれをかわされるとは思ってもいなかった。あれをかわしたのはお前を入れて8人目だ」
「それは光栄だな。なら、今度は俺だな」
魔剣から闇が噴き出しそれが剣の形となる。
「二刀流か」
「ああ、行くぞ」
思いっきり踏み込む。
「はあああああ!!!」
二本の剣から繰り出される高速の連撃。
「くうっ」
あまりの連撃にシュリがひるむ。
「はああああ!!」
ドッ!!
風が吹き荒れた。