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グローリアオンライン  作者: テイク
第二章 ハザマの夢
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第九話空へ

 アルファーゲーナに着いた。


「で、ここからどこに行けばいいの?」


 ティアが聞いて来た。


「ゴルディアだ」

「ここから結構遠いわね」


 ティアが地図を見ながら行った。


「馬車でも結構かかるし。移動石は一度行った場所しか使えない」

「大丈夫わよ~」

「ティア何か案があるのか?」

「ん~、こうするの」


 ティアが腕を振るう。


 フワッ


 風が俺達の体を持ち上げた。


「ちょ!! まさか!?」

「そのまさかよカイト♪。このまま飛んでいきましょう」

「ちょっとまてお前魔力が持つのかよ」

「だれに言ってるの?」


 ティアが余裕そうに笑う。


「これでも風系魔法最強の魔法使いって言われてるのよ~。最強の名は伊達じゃないわよ♪」


 そのまま猛スピードで西へ向かう。豪快だが繊細な風の操作だった。そうだったな。ティアはシルフの姫だったな。これくらいわけないか。


「カイト今なんか余計な事思わなかった?」

「いや」


 危ない危ないあんなこと考えてたのばれたら落とされる。


「見えてきたみたいですよ」

「ああ」


 石造りの無骨な建物が建ち並ぶ街ゴルディア。さすがにこんな方法を使って移動する奴なんていないだろう。早い早い。


「フィッシ~ング!!」

「だからトミーもうそれはいいよ」


 さて、何もあってなければいいが。


 そうしてゴルディアの街に着いた。かかった時間は驚異の一時間だ。歩きなら一週間はかかる距離をたった一時間で飛んできてしまった。恐ろしい。


「ふう、さすがに疲れたわ」

「助かった」

「お礼はいいからお酒が欲しいわ」

「なら酒場にでもいけ」

「そうするわ」


 ティアが酒場に入っていった。


「それでカイトさん。リーナさんたちは?」

「たぶん街外れの開けた場所だろう。行くぞ」


 街外れへと向かう。


 待ち外れにウォラーレが着陸してた。


「お~い」

「あ、カイト!!」


 ユイとリーナが走ってきた。


「心配したんですよ」

「よかった無事だったんだ」

「ああ、なんとかな」


 実際少しだけ危なかった。


「あれ、なんでコペイ達がいるの?」


 コペイ達に気がついたユイが言った。


「ああ、実はな」


 俺は今までのことを話し始めた。

「それで街の人は?」


 聞き終わってリーナが聞く。


「ああ、一応、助けれるだけ助けた」

「そうですか」

「それよりユウは?」

「中で寝てますよ」

「そうか」


 ひとまず安心した。


「それはそうとカイトなんで人形師(マリオネッター)がいるの?」


 ユイが人形師(マリオネッター)を指差しながら言った。


「ヒヒ、人を指差すもんじゃないよ」

「話聞いてなかったのか?」

「聞いてた」

「ならわかるだろ」

「でも、コイツがついてくる必要というか理由がないじゃん」

「確かに」

「知的好奇心というやつだよヒヒッ」


 なんだそれは。


「まあ、ワタシはワタシのやりたいようにやるだけさ。それがたまたま君たちについてくることに繋がったそれだけだよお嬢さんヒヒッ」

「ふ~ん」


 ユイは疑っているようだ。まあ、人形師(マリオネッター)一人ならこの面子で何とかできるから気にしない。


「おお、カイト無事だったか」

「ギンさんも無事なようで」

「当たり前だ。まあ、途中落っこちかけたけどな」


 おい。それは大丈夫に入らないだろう。


「大丈夫さ。アクロバット飛行さえしなければ」


 つまり一度はしたんだな。


「で、どうするんだい? 今すぐ出発するか?」

「ああ」

「よし、なら行こうぜ」

「その前にコペイ、ティアを呼んできてくれ」

「はい」


 コペイが酒場の方に走り出した。


「さて、なら行くとしようか」

 俺たちは現在ウォラーレに乗り山脈上空を目指していた。


「ここから先は未知の領域だ。何があるかわからない。覚悟はいいな」


 全員が頷く。


「さて、問題は…………」


 この飛空挺で山脈を越えられるかだな。


「理論上はなんとかなるぜ」


 ギンさんが言った。


「その理論上って大抵駄目だよな」

「言うなよ。大丈夫さ。コイツならな」


 そうしてついに山脈の上へと到達した。


「すげえ」


 そんな言葉しかでなかった。山脈の上。空から見るこの世界は途轍もなく美しく広大だった。まだまだ、世界は広かった。


「すごいね」


 ユイが言う。


「地平線が見えません」


 リーナが遠くを見ながら言った。


「これはまた本当に世界は広いわね」


 ティアが酒を飲みながら言う。


「すごいです、見てください王都があんなに小さいです」


 コペイが遠く王都を見ながら言う。


「この世界で僕は釣り王を目指す!!」


 どこのゴム人間だトミー。


「ヒッヒッヒ~」


 気味の悪い笑いを続ける人形師(マリオネッター)


「ほえ~」


 すごすぎて声が出ていないユウ。


 こんな空を俺たちは飛んでいた。広大な世界を始めて認識した。世界の広がりを感じた。どこまでもどこまでも広いこの世界を。


「さて、目的の場所へいっちょいくとしようぜ」

「ああ、さてとまずは街みたいな場所に…………」


 その時何かが視界の端を掠めた。


「なんだ」


 それは竜。飛竜、巨大な飛竜が飛んでいた。


「な!?」


 こんなところで飛竜に遭遇するだと。不味い。


「ギンさん!!」

「おう!!」


 スピードをあげる。空中で戦うすべを俺たちはもっていない。例外はユイだが、一人であの飛竜を相手に出来るとは思えない。


「あれを見てください!!」


 リーナが叫ぶ。指差しているのは飛竜の首のあたり。そこには――。


「人?」


 ――人が乗っていた。騎士のような格好だ。


「歓迎している雰囲気じゃないな。まるでマンガの竜騎士(ドラグーン)だな」

「そんな悠長なこと言ってる場合!!」


 ユイが慌てて俺に言う。


「っとそうだったこんなとこで落とされてたまるか」


 魔剣を抜く。


「さってと」


 飛空挺の上へと上る。


「ちょっとなにやってんのよ!!」

「見たらわかる!!」


 トンッ!


「な!?」


 俺は飛空挺から飛竜へと飛び降りた。


「バカじゃないの!!」


 ユイが叫んでいるが俺には届かない。


 俺をかつてないほどの興奮が支配していた。まだまだ世界は広い。俺が知らないことがある。それにまだまだ面白い奴がいる。楽しいな。


「でりゃあああああああああ!!」


 飛竜の背に剣を突き刺し飛び乗った。


『ガアアアアアア!!』


 飛竜が痛みで悲鳴を上げているがお構い無しだ。


「貴様!!」


 お、乗ってる奴が気づいた。声の高さからして女だな。兜で顔が隠れてるからわからん。プレイヤーかNPCか判断がつかない。このグローリアってAIがNPC動かしてるからまんま人間と変わらない。だが、おそらくプレイヤーだ。勘だがな。どうしてこんな場所にいるのかわからない。それに、俺たちより前にこの山脈を越えた奴がいたことに驚きだ。この飛竜に乗っていることも。


「ああ、悪い悪い。ちょっと襲われたんで抵抗に来た」

「貴様、私を侮辱するか!!」

「いや、別にって!!」


 飛竜が旋回する。慌てて魔剣に力を込める。振り落とされたたまるか。


「このバルムヘイム帝国、竜騎士(ドラグーン)イーラ部隊第十三位の私をバカにしてるのかと聞いている」


 バルムヘイム、つまりそこがこの竜騎士(ドラグーン)の技術を持った国ってワケか。それにしてもすごいな、この飛竜、俺も乗ってみたいな。


『そこまでだ!!』


 さらに上から声が降ってくる。見上げると飛空挺は竜騎士(ドラグーン)に囲まれていた。仲間か。そこで一番えらそうな奴が言った。


「戦闘を停止しろ。そしてそこの黒の剣士、我らの仲間が失礼をした」

「隊長!!」


 俺が乗っている飛竜の竜騎士(ドラグーン)の女が叫ぶ。


「黙れ」

「グッ」

「すまないな私の部下が失礼をした」

「いや、別に」

「だが、お前たちも我らの領空に無断で入り込んだのだ。襲われても文句は言えまい」

「まあそうだな」

「それでだ、貴様らには我らが首都に来てもらうぞ」

「嫌だといったら?」

「貴様の仲間が死ぬだけだ」

「…………」


 えらそうな男をにらむ。


「…………」


 男も睨み返してくる。


「いいだろう」

「そうか」


 俺は魔剣から闇を伸ばして飛空挺に戻った。


「カイト無茶しすぎ」

「いや、結果的に無事だったのだからいいじゃないか」

「ヒヒッ、君には驚かせられるね」

「うるさいぞ人形師(マリオネッター)


 さて、ま、とりあえず首都に案内してくれるんだ。これを利用しない手はない。


「ギンさん」

「ああ」


 飛竜について俺たちは帝国の首都へと向かった。

「で。この状況か」


 全員が牢屋にぶち込まれていた。逃げ出そうと思えば逃げ出せるが犯罪者になるからな~。


「狭い」


 ユイが言う。翼があるからなおさらだろうが。


「我慢してくれ」


 まあ、何とかなるだろう。悪意は感じないし。いきなり処刑されるってワケじゃないだろう。


「それにしても山脈を越えた向こう側にこんな帝国があるなんて世界は広いわね」


 ティアが言った。


「そうだな。世界は広い」


 実感する。グローリアは今も広がっているのかもしれない。


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